Lv31 魔の世界よりの使者
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扉の隙間から右手を伸ばし、男に狙いを定める。
そして、俺は呪文を唱えたのである。
「メラミ!」
直径1m大の火球が男の背中に直撃する。
火球は爆ぜ、男を包み込んだ。
男の苦悶の声が聞こえてくる。
【グァァァ! こ、これは、メラミの炎! ウガァァァ】
この様子を見る限り、多分、それなりにダメージはあったという事なのだろう。
メラミを選択して正解だったようだ。が、しかし……これで止めを刺せるほど、甘くは無いようである。なぜなら、奴自体がピンピンしている上に、炎も既に沈静化しつつあるからだ。
炎が消え去ったところで、ローブ姿の男はこちらに振り向き、怒りのこもった言葉を投げかけてきた。
【おのれェェ、何者だッ!】
(手を出した以上はやるしかない。すぐに魔法を行使できるよう、今の内に魔力分散作業をしておこう……)
俺は魔力制御しながら扉を開き、奴の前に姿を現した。
「ただの通りすがりの者だよ。その女性を眠らせようとしてたみたいだが、眠らせて何するつもりだったんだ? 悪戯でもするつもりだったのか、この変態野郎」
余裕のある言い回しで啖呵を切ったが、内心ビクビクであった。
当然である。相手は得体のしれない奴だからだ。
しかし、だからといって弱気を見せると相手を調子づかせてしまうので、この対応は止むを得んのである。どんな相手かわからん以上、必要な措置なのだ。いきなり、わけのわからん特技を繰り出されて酷い目に遭わない為にも……。
俺がそんな事を考える中、ローブ姿の男はフードで覆い隠した顔を向け、こちらをジッと窺っていた。
少しは警戒してくれているみたいである。とりあえず、余裕のある演技が功を奏したのだろう。
【……見たところ、魔法使い1人だけか……。フン、まぁいい。まずは貴様に呪いを施してやろう】
そう言うなり、ローブ姿の男は俺に杖を向けてきた。
だがしかし!
「メラミ!」
既に魔力分散作業を終えている俺は、そこで両手を奴に突きだし、メラミを2発お見舞いしてやったのである。
ちなみに、2発の内の1発は杖を持つ手に向かって放っておいた。
やはり、あんな話を聞いてしまったからには、無視することは出来ないからだ。
放たれた2つの火球は、容赦なくローブ姿の男に襲いかかる。
【なッ、メラミを2発だと! グウォォォ!】
メラミの直撃を受けたローブ姿の男は、勢いよく吹っ飛んでゆき、反対側の天井付近の壁に激突すると、床にドサッと落ちてきた。
また、男が持っていた妙な杖も、今の衝撃で吹っ飛び、部屋の片隅をコロコロと転がっているところであった。
(よし、計画通り!)
俺は内心ホッとしながら、そこで泉にいる女性に目を向ける。
すると女性は、この突然の事態に、ただただ震え、呆然と眺
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