Lv31 魔の世界よりの使者
[8/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、ジリジリと後退りしているところなのである。
俺はそこでローブ姿の者に目を向ける。が、後ろ姿しか見えないので、その表情は窺い知れない。
また、女性は逃げ道を探しているのか、険しい表情で周囲を見回しているところであった。
その緊迫した空気に、俺は生唾をごくりと飲み込む。
と、その時である。
ローブ姿の者が、不敵な笑い声を上げたのだ。
【ククククッ、幾ら見回したところで、周りは石の壁だ。逃げ道などはございませんよ、フィオナ様。さて、御覚悟はよろしいですかな。なあに、貴方には眠っていてもらうだけですよ。ただし、決して目覚める事のない、呪いの眠りですがね。クククッ】
声を聞いた感じだと、ローブ姿の者はどうやら男のようだ。
人間かどうかわからないが、とりあえずは男という事にしておこう。
ローブ姿の男は、深紫色の水晶が先端に付いた捻じ曲がった杖のような物を上に掲げると、女性に告げた。
【フィオナ様、何も心配しなくてもいいのですよ。痛くはありませんのでね。クククッ】
と、その直後、フィオナと呼ばれた女性は、ローブ姿の男に向かい、呪文を唱えたのである。
「ベギラマ!」
女性の手から炎が放たれ、ローブ姿の男はモロにそれを浴びる。が、しかし……ベギラマの炎を浴びているにもかかわらず、男は愉快そうな笑い声を発したのであった。
【クククッ、このダークローブは攻撃魔法に対して耐性があるので、その程度の魔法など恐れるに足りませんよ。さて、もう眠ってもらうとしましょうか】
女性が青褪めた表情を浮かべる中、男の持つ杖の水晶が、不気味に怪しく輝き始めた。
またそれと共に、嫌な魔の瘴気も漂いだしたのである。
直感的に、今の内に何とかしないと不味いと思った俺は、ここでラティに1つお願いをする事にした。
「ラティ、奴と戦う事になるから、外で入り口を見張っていてくれ。誰か来たらすぐに知らせるんだ。良いな?」
「お、おう、わかった。コータローも、気ぃ付けなアカンで」
「ああ」
ラティはそう言って、この部屋を後にした。
するとその直後、ラーのオッサンが小声で俺に話しかけてきたのである。
「コータローよ……我は、奴と戦うのをあまり薦めん。が、戦うのならば1つ忠告しておこう。奴の持つ杖に注意しろ。あれは恐らく、夢見の邪精を封じた呪われた武具だ。夢見の邪精に憑かれると身体を乗っ取られるぞ」
「マジかよ……このタイミングでそれを言うか……」
お蔭で決心が鈍ってきた。
だが、そんなやり取りをしている最中にも、扉の向こうに見える黒いローブ姿の男は、既に次の動作へと移ろうとしているところであった。
(チッ、不味い。あの子に杖を向けてやがる。もう悩んでる時間がない)
俺はそこで、奴に効果がありそうな魔法を行使する事にした。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ