Lv31 魔の世界よりの使者
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室内をそっと見回したのであった。
すると次の瞬間、うつ伏せになって倒れている2人の女性神官が、俺達の視界に入ってきたのである。
(あの神官達も、さっきの奴に眠らされたみたいだな……。まだここに奴がいるかもしれない。とりあえず、室内を確認しよう)
俺は周囲を警戒しながら、室内の隅々に目を向けた。
一通り見回したところで、俺とラティはホッと安堵の息を吐いた。
なぜなら、目に付く物と言えば、周囲の壁に描かれた神秘的な女神の壁画と、奥の壁に設けられた扉だけであり、あの怪しいローブ姿の者はどこにも見当たらなかったからだ。
俺は一息ついたところで、倒れている女性神官に目を向けた。
ここから見る限り、2人の女性神官に怪我は無いようだ。
また、身体が僅かに動いているところを見ると、呼吸はしているみたいである。多分、外の女性騎士達と同じで、眠らされているのだろう。
と、そこで、ラティの小さな声が聞こえてきた。
「し、死んどるんかな?」
俺も小声で答える。
「いや、呼吸はしているから、外の騎士達と同じで、眠らされているんだろう。ところでラティ、この奥はどうなってるんだ?」
「この奥は泉や。多分、さっきの奴はそこやと思うで」
「泉か……よし、行ってみよう」
俺は物音を立てないよう注意しながら、忍び足で扉の前へと向かう。
すると扉に近づくにつれ、話し声が聞こえてくるようになったのである。
扉の前に来た俺は、その話し声に耳を傾ける事にした。
【なにを……】
【……きまって……あなた……ことだ……】
話し声は男と女の声であった。
だが、ハッキリと聞き取れないので、何を話しているのかが全く分からない。
その為、俺は扉を少し開き、隙間から向こうの様子を窺う事にしたのである。
俺は扉を3cm程開き、そこから中を覗き込む。
狭いながらも向こうの様相が見えてきた。
するとそこは、白く美しい石で造られた部屋の中心に、丸い泉があるという構図の四角い大きな部屋であった。
泉の周囲には光る八本の柱が規則正しく立っており、それらの光が反射して泉は美しく輝いていた。その様子は、まるで泉自体が光を満たしているかのようである。
またその他にも、ラベンダーのような芳しい香りも漂っており、非常に清潔感の漂う空間となっていた。
隙間から見える部屋は、そんな、穢れの無い美しい所であった。が、しかし……それは普段ならば、と付け加えなければならないのだろう。
なぜなら今は、そんなモノなど微塵も感じさせない事態が起きているからである。
俺の目に飛び込んできた光景……それはなんと、漆黒のローブを身に纏う者が、泉の中にいる美しい女性を威圧している姿であった。そして、泉の中の女性はというと、青褪めた表情を浮かべながら
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