Lv31 魔の世界よりの使者
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ーブ姿の者が杖のような物を上に掲げたと思ったら、詰め寄った3名の者達は事切れたかのように、突然、バタバタと地面に倒れていったからだ。
ラティも驚きを隠せないのか、目を大きく見開いていた。
「な、なんや、何したんや。突然倒れよったで」
そして、黒いローブ姿の者はというと、悠々とした足取りで、建物の中へと入って行ったのである。
この場に暫しの静寂が訪れる。
(一体何をしたんだ……魔法か……いや、魔力の放出が無いから、多分、魔法じゃない気がする。となると、あの杖の力か……わけがわからん)
とりあえず、俺は確認の為、ラティに訊いてみる事にした。
「ラティ……今のは何だ? あれも、ここでは日常的にある事なのか?」
「んなわけあるかい。ありゃ、なんかヤバい感じやで……。どうする、コータロー。ちょっと見てくるか?」
正直言うと関わり合いになりたくはないが、見てしまった以上、無視するのも後味が悪い。
(はぁ……何でこんな事態に遭遇するんだろ、俺……。ただ、誰も傷つくことなく、平和に覗きをしたいだけなのに……。仕方ない。とりあえず、中の様子を見てくるか……。だが、場合によっては戦闘もあるかもしれない。すぐに行動できるよう準備だけはしておこう……。はぁ……こんな事なら、魔道士の杖も持ってくれば良かった。とほほ……)
置いてきた魔道士の杖に少しだけ後悔しつつ、俺は重い腰を上げる事にした。
「あまり気が進まんが、仕方ない……行くか」
「ほな、行くで」
そして俺とラティは、周囲を警戒しながら建物へと近づいたのである。
[V]
俺とラティが建物の入り口へやって来ると、そこには銀の鎧に白や赤のマントを装備した3名の女性騎士が、うつ伏せで倒れていた。
3人共、年は若く、20代から30代といったところである。結構、美人揃いであった。それから、彼女達の背中を覆うマントの中央には、神殿の外にいた騎士達と同様、光と剣をあしらった紋章が描かれていた。これを見る限り、彼女達は恐らく、王族の近衛騎士なのだろう。
それと彼女達の容体だが、呼吸をしているところを見ると、ただ単に眠らされているだけのようである。外傷もないので、今すぐ命の危険がどうこうという事はなさそうであった。
とりあえず、倒れている騎士に関して分かったのは、こんなところだ。
一応、彼女達を起こそうかとも思ったが、俺達の事は知られたくなかった為、今はこのままにしておき、次に行くことにした。
俺は手振りで中へ入る合図をラティに送ると、物音を立てないよう注意しながら、建物の中へと入っていった。ラティも俺に続く。
建物の中に入った俺達は、20m程の通路を慎重に進む。
そして、その先にある白く明るい部屋の前に来たところで、俺は通路の壁を背にしながら
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