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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv31 魔の世界よりの使者
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 バルログは怒りで、プルプルと身体を震わせているところであった。
【お、おのれェェェ、小賢しい奴めェ! 必ず殺してやる。殺してはらわたを食らいつくしてやる!】
 相当頭に来ているようだ。が、これでいい。
 戦いというのは基本的に、冷静さを失った時点で負けだからである。つまり、今が攻め時という事だ。
 それに、俺の魔力量を考えると、これ以上逃げ回るのは得策ではない。なので、ここはどうでも打って出る必要があるのである。
 そう……魔導の手によって奴の身体能力と渡り合えるようになった俺は、あくまでも一時的なものだからだ。魔力が尽きた時点でゲームオーバーなのである。
 だがとはいうものの、普通に攻めたのでは上手くいかないのは明白であった。
 なぜなら、奴の身体能力と魔導の手を使った俺は、ほぼ互角だからである。
 闇雲に魔光の剣で攻撃しても避けられる可能性が高いのだ。
 おまけに魔光の剣は、そう何回も使える代物ではない。使うならば、一撃必殺の要領でないと駄目なのである。使用者の魔力はあっという間に枯渇してしまうからだ。
 では、それらの問題点をどう改善するのか? という事だが、実はついさっき、俺は魔導の手の新しい使い方を閃いたのである。
 そして、それを実行に移すべく、俺は奴に向かい、魔導の手を装備した左手を突きだしたのであった。

 魔導の手の新しい使い方とは何か……。
 それは魔力圧を上げて、魔導の手で奴を引き寄せるという事である。更に言えば、俺自身も強い力で奴に引き寄せられるという事……。
 つまり、魔導の手を磁石のように使う事であった。

 俺は魔導の手に思いっきり魔力を籠め、奴に見えない手を伸ばすと、一気に引き寄せるようイメージした。
 するとその直後、奴だけでなく、俺自身もその力によって引き寄せられる。
 俺達は物凄い速さで間合いが縮まっていた。
 奴の慌てる声が聞こえてくる。
【な、何ィッ! なんだこの力はッ!?】
 奴はこの突然の出来事に慌てていた。
 しかも奴は、俺との間合いが詰まっているのにも関わらず、武器を振るう事すら忘れている状態だ。
(今が勝機!)
 そう考えた俺は、魔光の剣に魔力を籠め、光の刃を出現させる。
 そして、奴と泉の真上で交差した次の瞬間、俺は魔光の剣で、バルログの胸元を横に薙いだのであった。
【ギギャァァァ!】
 その刹那、奴の身体は胸から2つに切断され、ドボドボと泉に落下する。
 そして俺は、魔導の手を使って床に降り立ち、水面に浮かぶバルログの哀れな姿に目を向けたのである。
 水面に浮かぶ奴の切断面からは、どす黒い血液が溢れており、泉は黒く濁り始めていた。
 先程までの神々しく光る泉は、もはや、見る影もない状態である。
 俺は泉の縁に行き、バルログの最後を見
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