Lv31 魔の世界よりの使者
[12/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
死ぬしかないのだからな。クククッ、そういうわけだ。とりあえず、死ねェ!】
バルログはそう言うや否や、物凄いスピードで飛び掛ってきた。
「チッ」
俺は咄嗟に横へと飛び退いた。
だが、バルログの攻撃が予想外の速さだった為、俺は避けきれず、鞭を左肩に受けてしまったのである。
その瞬間、バチンッという音と共に、刺すような激痛が俺の身体を走り抜けた。
「グアッ!」
俺は左肩に右手を当て、バルログに目を向ける。が、しかし、バルログはもう次の行動に移っていた。
なんと、バルログは既に間合いを詰め、右手に持ったナイフを俺に突き刺そうとしていたのである。
(ま、不味いッ! 生身の身体能力は俺よりもかなり上だッ)
この事実を前に、俺は無我夢中で魔導の手に魔力を籠めた。
そして、反対の壁にある小窓に見えない手を掛け、自分を引っ張る形で素早く移動したのである。
その刹那、奴の振るうナイフが空を切る。
俺はそこで、ホッと息を吐いた。が、ホッとしたのも束の間であった。
バルログは俺の動きに合わせて宙を飛び、上空から鞭を振るってきていたからだ。
(なんつう速さだッ、クソッ)
俺はまた魔導の手に魔力を籠め、同じような要領で素早く移動した。
すると即座にバルログも俺の後を追ってくる。
俺はそうやって、奴の攻撃を避け続けた。
そして、そんないたちごっこを何回か続けたところで、ようやくバルログは動きを止めたのである。
バルログは面白くなさそうに口を開いた。
「チッ……なるほどな、魔導の手とかいうやつか……面倒臭い奴め。だがこれ以上、俺も貴様とのお遊びに付き合うつもりはない。そろそろ終わりにさせて貰おう。クククッ】
バルログはそう言うと、バサバサと羽根を広げて飛び上がり、泉につかる女性の方へと向かった。
(人質戦法かッ)
奴の思惑を瞬時に理解した俺は、急いで魔導の手に魔力を籠め、女性へと見えない手を伸ばした。
「キャア!」
俺は魔導の手に籠める魔力を強め、泉から女性を持ち上げた後、こちらへと一気に引き寄せた。
女性は白く美しい素肌をしており、豊かな胸元と、張りのある引き締まったお尻が印象的であった。
だが女性はこんな時にも関わらず、胸と股間に手を伸ばして肝心な部分を隠していたのである。これは少し残念であった。とはいうものの、俺も流石に今の状態で、エロモードにはなれんが……。
ま、まぁそんな事はさておき、俺は女性を足元に降ろすと、とりあえず、後ろに行くよう指示した。
「すいません、無礼な真似をして。でも今は緊急事態です。すぐに俺の後ろへ回ってください!」
「は、はい」
全裸の女性は、慌てて俺の後ろに移動する。
そして、俺は奴の出方を窺いながら、腰に装備する魔光の剣に手を掛けたのである。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ