Lv31 魔の世界よりの使者
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土色の肌をした人のような姿に、背中には蝙蝠を思わせる翼。髪の無い頭部には、裂けた口と尖った長い耳に加え、こちらを睨みつける蛇のように鋭い目。右手には鋭利なナイフと、左手にはしなる鞭。一言で言うなら悪魔の姿をした魔物である。
そう……ドラクエVのラストで出てきたあの魔物が、そこにいたのだ。
俺は思わず、その名を口にしていた。
「その姿……もしかして、バルログかッ!?」
魔物は俺の言葉に反応する。
【何ッ!? 貴様……魔の世界の奥底に住まう、我が種族の名をなぜ知っている。貴様、一体何者だッ!】
少し余計な事を言ったみたいだ。が、俺は今それどころではなかった。
なぜなら、この魔物が持つ非常に嫌な能力を思い出したからである。
(そ、そういえば、こいつ……確か、ザラキを頻繁に使ってきた気がする。ヤ、ヤバい、あんな魔法使われたら、死ぬ可能性が大アリだ! ドラクエVだと、マホトーンが効きやすかった筈。は、早く封じないと! というか、同じ設定であってくれぇ)
俺はそう結論するや否や、祈るような気持ちで魔力分散の終わった両手を前に突き出し、問答無用でマホトーン2発を奴に放ったのである。
「マホトーン!」
その刹那、黄色い霧がバルログの周りに纏わりついてゆく。
そして俺は、その様子を見届けたところで、ホッと安堵の息を吐いたのであった。
この黄色い霧は、マホトーンが成功した証だからだ。
バルログが忌々しそうに口を開く。
【チッ……まさか、先手を打ってくるとはな。死の呪文で手っ取り早く始末しようと思ったが、仕方ない。ならば、俺もこれを使うまで……ガァ】
バルログはここで予想外の行動に出る。
なんと、口の中から黄色い玉を吐きだしたのである。
(こ、この黄色い玉も見覚えがあるぞ。まさか……)
【クククッ、魔法使いなんぞ、これを使えば遅るるに足らぬわ】
バルログはそう言って黄色い玉に魔力を籠めた。
するとその直後、玉から黄色い霧が噴き出し、辺りに漂い始めたのである。
(恐らくこの霧は……とりあえず、試してみよう……)
俺はそこで、試しにピオリムを小さく唱えた。
しかし、変化はまるでなかった。
そして俺は理解したのである。
これはザルマが使った呪文を無効化させる、あの霧だと……。
薄く黄色い霧が辺りに満ちたところで、バルログは口を開いた。
【クククッ、さて、お前を始末する準備は整ったようだ。これで、お前をなぶり殺してやれる。覚悟するんだな。クククッ】
「呪文無効化の霧ってやつか。……用意周到だな」
【その通りよ。念の為に持ってきたが、まさか使う事になるとは思わなかった。それだけお前が予想外だったという事だ。だが、それも一時的なもの。魔法の使えぬ魔法使いなんぞ、取るに足らぬ存在。もうお前は
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