Lv31 魔の世界よりの使者
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ティに案内されて辿り着いた先は、滝のけたたましい音が鳴り響く湖の畔であった。滝と湖の影響か、周囲は少し肌寒い。日中ならともかく、夜である今は長居したくない所である。
俺はそこで今来た方向を振り返り、ピュレナ神殿までの距離を確認する事にした。
見た感じだと、神殿はここから直線にして約100mといったところだろうか。薄暗いのでハッキリとはわからないが、大体そのくらいであった。
以上の事から、ここはピュレナ神殿から少し離れた位置なのだが、俺はそれよりも少し気掛かりな事があったのである。
それは何かと言うと、ここには神殿の敷地内に入る為の道といったものが、どこにも見当たらないという事であった。それだけではない。緩やかなカーブを描く断崖が邪魔をしている為、敷地内へはそう簡単に入れそうにないのだ。
つまり、普通に今来た道を戻るか、断崖をロッククライミングをしながら横に伝って行く以外、神殿への道は無いのである。
(うへぇ……どうやって神殿の敷地内に忍び込むんだ……)
謎は尽きないが、今はここの状況確認が先決だ。
「ラティ、とりあえず、周囲に誰もいないか確認をしよう。行動に移すのはそれからだ」
「せやな」
というわけで、まずは周囲の確認から始める事にしたのである。
――それから約10分後――
一通り確認したところで、俺とラティはミーティングを始める事にした。
「今のところ、誰もいないみたいだな。多分、暗い上に滝の音が五月蠅いから、ここでは誰も休まないんだろう」
「せやろな。これだけ五月蠅いと、馬も流石に寝られへんと思うわ」
ある意味、好都合である。
「さて、それじゃあラティ、ここからの説明を頼む」
ラティは頷くと、滝が流れ落ちる断崖に視線を向けた。
「ここからは、断崖の岩壁を飛び移っていくか、空を飛んでいくかの二択になんねんけど、コータローはどっちがええ?」
「どっちがええって……。言っとくけどな、俺は空を飛べんぞ。一時的に浮くことくらいはできるけど」
妙な事を訊いてくる奴だ。
「え? そうなんか? 昨日、温泉の屋根が崩れた時に飛んでたさかい、てっきり飛べるもんやと思ってたわ」
どうやら、魔導の手を使って飛んだのを見て、そう思ったようだ。
誤解されるのもアレなので、一応言っておこう。
「ああ、あれはな、魔力を使って強引に飛んだんだよ。だから、ラティみたいには飛べんぞ、俺は」
「なんや、そうやったんか。ほんなら、あとはもう、断崖の岩壁を飛び移って行くしか方法はないな」
「岩壁を飛び移る、か……。で、具体的にどうするんだ?」
ラティは断崖に目を向けると言った。
「壁の至る所に岩が飛び出てるのが見えるやろ。あれを飛び移っていくんや。飛べん奴には厳しいけど、コータローなら魔力で飛ぶという選
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