Lv30 巡礼地ピュレナ(i)
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とす。
と、そこで、レイスさんとシェーラさんが、ムクリと上半身を起こしたのである。
「私は別にいいわよ。コータローさんなら信用できるから」
「私もだ。皆でいる時くらいはイメリア様のしたいようにさせてあげたい」
「へ? 聞いてたんですか?」
「こんなに近くで話をされたら、嫌でも目が覚めるわよ」
シェーラさんはそう言って微笑んだ。
言われてみればその通りである。
「で、ですよね。なは、はは、ははは」
「ありがとう、レイスにシェーラ」
「いえ、お気になさらないでください、イメリア様」とレイスさん。
まぁそんなわけで、なんかよくわからんが、あっさりと2人から公認されたのであった。
めでたしめでたしといった雰囲気である。
だがしかし……そこで、俺にジッと視線を投げかけてくる者がいたのだ。アーシャさんである。アーシャさんだけは俺に向かい、何かを言いたそうな表情を浮かべていたのであった。
もしかすると、俺がサナちゃんによからぬ事をすると思っているのかもしれない。
とはいえ、そう思われるのは俺も心外だ。
その為、俺はサナちゃん達には聞こえないよう注意しながら、アーシャさんの耳元で小さく囁いたのである。
「アーシャさん、安心してください。俺は紳士です。いくらなんでも、子供に情欲を起こしたりしませんから」
するとアーシャさんは、アタフタとしながら口を開いた。
「な、なな、何を突然言うんですの。わ、私、そんなこと考えてませんわよ。い、いやですわ、コータローさんたら」
「へ? 違うんですか? アーシャさんの表情見てたら、俺がよからぬ事をするんじゃないかと心配してる風に見えたんですけど」
「そ、そんなんじゃありませんわ。も、もういいです」
そしてアーシャさんは俺から顔を背けたのであった。
だがさっきと比べると表情が明るかったので、少しは安心したのかもしれない。
とりあえず、誤解は解けたのだろう。
とまぁそんなわけで、朝から少し予想外の展開があったわけだが、俺達はその後、旅の準備を整え、1階の受付で待つラティと合流した。
そして、巡礼の地・ピュレナへと向かい、俺達は馬車を走らせたのである。
[U]
ルーヴェラを発ってから、どのくらいの時間が経過しただろうか……。
地平線の彼方に目を向けると、大地に沈み始めた赤く滲む太陽の姿が視界に入ってきた。
空は朱に染まり、周囲は薄暗さが増している。またそれに伴い、気温も少し肌寒いものへと変化していた。この分だと、あと1時間もすれば、日は完全に沈んでしまうに違いない。
馬車の車窓から周囲を見回すと、辺りは、ルーヴェラからずっと続いていた草原の姿ではなく、赤い土が広がる褐色の大地となっていた。草木も少なく、やや荒れた感じに見え
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