Lv29 ルーヴェラにて
[7/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
周囲の建物の様式を考えると、テルマエ・ロマエに出てきそうな温泉浴場なのかもしれない。
だがしかしィィィィ! そんな事はどうでもいいのである。とにもかくにも、今の俺は、温泉につかってゆっくりと身体を休め、鼻歌でも歌いたい気分なのだ。
ラティに受付へと案内され、チェックインを済ませた俺達は、早速、部屋に向かう事にした。
ちなみに借りた部屋は、6人部屋を1つだけだ。話し合った結果、皆で一緒にいる方が安全という結論に達したからである。
部屋に入った俺は、荷物をその辺の床に置くと、ベッドに腰かけて横になり、まずは身体を休める事にした。
この道中、魔物との戦闘も何回かあったので、流石に疲れたのだ。
他の皆も同じで、室内に置かれた椅子やベッドに腰掛け、楽にしているところである。
まぁそれはさておき、暫くそうやって体を休めていると、アーシャさんが俺に耳打ちをしてきた。
「コータローさん、お疲れのところ申し訳ありませんが、一度マルディラントに戻りたいので、ついて来てもらいたいのですが」
「ああ……そういえばそうでしたね」
俺はそこで立ち上がり、サナちゃん達に視線を向けた。
「少しばかり、アーシャさんと出掛けてきますんで、皆は暫く、ゆっくりと休んでてもらえますか」
「わかりました」
「うむ。了解した」
「そうさせてもらうわ。私も疲れちゃたから」
とまぁそんなわけで、俺はアーシャさんの一時帰宅に付き添うことになったのである。
――それから1時間後――
俺達が部屋に戻ると、サナちゃん達の他にも待っている者がいた。ラティである。
後で部屋に来ると言っていたので、チェックインの時に部屋番号を教えておいたのだ。
ラティは俺達の姿を見るなり、ニカッと笑みを浮かべ、気さくに話しかけてきた。
「おっ、帰って来たな。悪いけど、上がらせてもらってるで」
「物流組合での用事とやらはもう終わったのか?」
俺はそう言って、自分のベッドに腰掛けた。
アーシャさんも俺の隣に座る。
「まぁな。それはそうとコータロー、明日なんやけど、いつ頃出発するつもりなん? ワイも、その辺の事を訊いとかなと思って来たんや」
「出発は……そうだな……ここにもイシュラナ神殿があるから、イシュラナの鐘が鳴る頃なんてどうだ?」
するとラティは目尻を下げ、微妙な表情を浮かべた。
「イシュラナの鐘かぁ……少し遅い気もするなぁ……」
「え、遅いのか?」
「コータロー達はともかく、ワイは王都に向かわなあかんからな。まぁアルカイム地方に入るだけなら、1日あればええけど」
そういえば、ラティには、アルカイム地方に向かっているとしか言わなかった。
用心の為に伏せたのだが……こうなった以上は仕方ない。
ここは誤魔化さず、ハッキリしておい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ