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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv29 ルーヴェラにて
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うわけで……。
「ゆこう」
「ゆこう」
 そういうことになった。


   [X]


 俺はマイラの2階にある、とある部屋へとラティに案内された。
 そこは、この宿の物置のようで、室内には毛布やシーツみたいな寝具類が沢山積まれていた。要するに、関係者以外立ち入り禁止の部屋というわけである。
 まぁそれはさておき、部屋の中に入ったところで、ラティが小声で俺に囁いた。
「奥の壁にある窓から女湯の屋根に出られるんや。せやさかい、女湯はもう、目と鼻の先やで」
「うむ。苦しゅうない。ではラティ隊長、よろしく頼む」
「ハッ! コータロー将軍! こちらになります」
 ラティも俺の口調に合わせてきた。中々、ノリの良い奴みたいだ。
 部屋の中に入ったラティは奥へと進み、木製の窓の前へと俺を案内してくれた。
 窓は押上げタイプのようで、今は閉め切った状態である。
「では将軍、暫しお待ちを」
 ラティはそう言って、物音立てず、そっと窓を押し開けた。
 すると次の瞬間、夕日に照らされるルーヴェラの街並みが、俺の視界に入ってきたのである。それは美しい光景であった。思わず、見入ってしまうくらいに……。
 この美しい光景を見た所為か、一瞬、俺の中に罪悪感のようなモノが芽生えてきた。
(何やってんだろ、俺……こんな事をしていていいのだろうか……ああ、もう!)
 俺はそこで頭を振り、雑念をなんとか振り払った。
(ええい! こうなった以上、もはや後には引けぬわッ! 男子たるもの、一度決めた事はそれに邁進するのみじゃ! 今はすべき事に集中せねばならんのじゃぁ! 我が生涯に一片の悔いなしじゃァァァ!)
 とまぁそんなわけで、覚悟を決めた俺は窓からソッと顔を覗かせ、とりあえず、周囲の確認をすることにした。
 すると窓の桟から50cm程下がった所の壁から、1階部分の屋根が伸びているのが俺の視界に入ってきたのである。
 屋根の形状は、東屋とかでよく見掛ける四角錐型で、茶色の木板を鎧張りにしてあるタイプのモノであった。結構面積も大きく、パッと見でも100uくらいありそうな感じだ。
「将軍、この下が女湯になりますが、ここからは少し足元に気を付けて進む必要があります。なるべくならば、屋根の上側を歩いて頂きたいのであります」
「ほほう。……して、そのわけは?」
 キリッとしながらラティは告げた。
「実は、こちら側の浴場は日当たりが悪い事もあって、屋根が少し腐りかけている所があるのでございます。しかし、そこを注意さえすれば、素晴らしい光景をお見せする事が出来ると、私は約束します」
「屋根が腐っているとな……。確かにそれは注意せねばならぬ。だが、隊長……外は夕暮れ時とはいえ、まだ若干明るい。上の方だと少し目立たないか?」
 これは当然の疑問であった
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