Lv29 ルーヴェラにて
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俺達は馬車の中で、テト君達が戻って来るのを待っていた。これには勿論、理由がある。
さっきテト君から色々と事情を聞いたのだが、彼等はこの付近で休憩していた時に、魔物に襲われたようである。しかし、思っていたよりも魔物が強かったので、慌ててここまで逃げてきたというのが、これまでの経緯のようだ。
そんなわけで、テト君達は今、自分達の馬車が無事かどうかを確認しに向かっているのであった。
無事な事を祈るばかりである。
話は変わるが、テト君はやはりイシュラナの神官のようだ。ちなみに今は見習いだそうである。
一応、この冒険者達のリーダー的な存在のようだが、俺からすると、お堅いイシュラナの神官が冒険者みたいな事をしてるのが不思議だったので、それをさっき訊いてみた。
するとテト君から、こんな言葉が返ってきたのである。
「イシュラナの神官は悪事には加担しませんが、世を乱す魔物の退治には協力しますよ。女神イシュラナの啓示した光の聖典の第10章にも、こう書かれておりますからね。――世に災いをもたらす悪しき存在が現れしとき、恐れず、そして勇気をもって戦いなさい。汝の御霊はイシュラナと共にあります――と。だからです」
テト君の話を要約すると、悪しき存在には武器を手に取れという教義らしい。
つまり、冒険者と共に行動するイシュラナの神官というのは、このイシュマリアにおいて、珍しくもなんともない事のようである。これは覚えておいた方が良さそうだ。
それからテト君は、商人の護衛の他に、神殿にも用があるような事を言っていた。
俺も何の用かまでは訊かなかったが、テト君曰く、今のイシュラナ神殿は色々と慌ただしい事になっているそうである。もしかすると、ヴァロムさんの件が影響しているのかもしれない。
というわけで、話を戻そう。
彼等が確認に向かったところで、アーシャさんが俺に話しかけてきた。
「あの方達の馬車が無事だといいですわね……。でもコータローさん、もし駄目だった場合は、どうするのですか?」
中々難しい質問である。
「駄目だった場合ですか……まぁその時は、俺達の馬や馬車を利用してなんとかするしかないでしょうね。でも、今はとりあえず、彼等を待ちましょう」
「そうですわね」
俺はそこで空を見上げた。
すると、空は相も変わらず、灰色の雲で覆われたままであった。
太陽が見えない為、日没までどのくらいの時間が掛かるのか分からないが、今まで経過した大体の時間を考えると、恐らく、後4時間から5時間といったところだろう。
(彼等の馬車が無事ならば、日没までにはルーヴェラに着ける筈だ。無事だといいが……ン?)
などと考えていると、十字路の右側から、テト君達が乗った2台の荷馬車がやって来たの
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