Lv28 アルカイム街道(i)
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へ? あれがドラキー便なんですか……」
「ええ、間違いありませんわ。鞄を背負った赤いドラキーですし」
「あっ、そうか……赤いドラキーは書簡配達してるんでしたっけ……」
そういえば以前、ヴァロムさんがこんな事を言っていた。
遠隔地の書簡配達業務は、ドラキー便が良く使われているというような事を。
しかもヴァロムさん曰く、この赤いドラキーは結構な距離を休みなしで飛べるだけでなく、幾つかの攻撃魔法も使えるので、危険地帯の書簡配達員みたいな事を生業としているのだそうだ。
おまけに、人と会話も出来るほど知能も高く、話の分かる魔物なので、人とも仲良く共存共栄できるそうである。
余談だが、貴族お抱えのドラキー便もあるそうだ。以前、ヴァロムさんに書簡を持ってきたドラキーも、オルドラン家のお抱えドラキーらしいので、その辺は色々と込み入った事情があるのだろう。
俺のプレイしたドラクエでは敵であった赤いドラキーだが、ここでは意外にも人間社会に溶け込む種族のようである。
つーわけで、話を戻そう。
流暢な関西弁を喋るドラキーは、馬車の屋根に降り立つと慌てたように話し始めた。
【あ、あんちゃん達、イキナリですまんけど、この先の十字路付近で、旅の商人が魔物の集団に襲われとるんや。護衛についた冒険者だけでは多勢に無勢で手に負えんようやから、助けてやってや。お願いや! あんちゃん達、強そうやし】
さて、どうしたもんか……。
人間と共生してる魔物なので嘘ではない気がするが、このドラキーが一芝居うっている可能性も勿論否定できない。
だが、もし本当ならば放っておくのも後味が悪いところである。
とりあえず、俺は皆の意見を聞くことにした。
「魔物かぁ……。皆、どうします?」
「かなり差し迫った状況のようですので、助けに行った方がいいのでは」と、アーシャさん。
と、ここで間髪入れず、ドラキーがお世辞を言う。
【ありがとう、綺麗なネェちゃん。ネェちゃんならそう言うてくれると思った。綺麗なだけじゃなくて、すごく素敵な人やわぁ。棘の無い綺麗な女の人に、こんな所で会えるなんて思わんかったわぁ。長生きはするもんやで、ほんま】
するとアーシャさんは今の言葉に気をよくしたのか、声高にこう告げたのだ。
「コータローさん、早く行きましょう! こうしてる間も、魔物に苦しんでいる方々がいるのですよ!」
中々煽てるのが上手いドラキーのようだ。が、とはいえ、本当ならば確かに不味い。
仕方ない……ここはこのドラキーの言う事を信じてみるとしよう。
「レイスさん、馬の調子はどうですか?」
「もう少し休みたいところだが、事情が事情だ。仕方あるまい。行こう、コータローさん」
「じゃあ、行きますか。と、その前に……。襲っている魔物はどんな奴等なんだ? それ
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