Lv28 アルカイム街道(i)
[5/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
と仰って下されば良かったのにッ」
実を言うと、既にバレている事をアーシャさんは知らない。
ティレスさんから内緒にしておいてくれと言われたので、それについては話してないのだ。
なぜこんな事をしたのかわからないが、多分、ティレスさんのちょっとした悪戯なのだろう。
「まぁまぁ、アーシャさん。多分、ティレスさんなりの考えがあったんだと思いますよ。でもよかったじゃないですか、ティレスさんも俺達と同行するのを認めてくれたのですから」
「ええ、まぁそれはそうなのですが……って、なんで貴方が、それを知っているんですの?」
しまった……。
余計な事を言ってしまったようだ。
「じ、実はですね。昨晩、ティレスさんから、そう聞いたんです」
「なんですってぇ! あんまりですわ、お兄様! コータローさんもコータローさんですわよ。知っていたのなら、一言仰って下されば良かったのにッ。これじゃ、気を使ってきた私が馬鹿みたいですわ」
アーシャさんは捲し立てるようにそう言うと、釣り上げられたトラフグの如くプンスカと頬を膨らましたのである。
このままだと俺に火の粉が降りかかりそうなので、とりあえず、事情を話しておくことにした。
「だ、黙っていてすいませんでした。ですが、黙っているようにという指示を出したのはティレスさんなんですよ。お、俺はそれに従っただけなんです」
「へぇ……そうなのですか。帰りましたら、お兄様にはどういう事なのか、問いたださなければなりませんわね……」
アーシャさんは執念深いので、ティレスさんも後が大変そうだ。
まぁそれはさておき、俺は他の内容について訊いてみる事にした。
「それはそうとアーシャさん。手紙には他に、なんて書いてあったのですか?」
「ここに書かれているのは、今言った内容と、引き続き、朝と晩はちゃんと顔を見せに来るように、という事だけですわ」
「じゃあ、今まで通りって事ですね」
「確かにそうですが、納得いきませんわッ」
アーシャさんはまだご立腹のようだ。
暫くはこんな感じが続きそうである。はぁ……。
と、ここで、サナちゃんが話に入ってきた。
「でもよかったですね、アーシャさん。お忍びで旅を続けるのは、アーシャさんも気が楽でなかったと思いますから。それに、コータローさんとアーシャさんは、レイスとシェーラ以外で、私が気を許せた初めての方達ですから、アーシャさんが気兼ねなく旅を続けられると聞いて、今、凄くホッとしてるんです。ですから、これからもよろしくお願いしますね、アーシャさん」
サナちゃんはそう言って、屈託のない笑みを浮かべた。
するとアーシャさんは、サナちゃんの微笑みに毒気を抜かれたのか、少し戸惑いながら、いつもの表情に戻ったのである。
「え、ええ……こちらこそよろしくお願いしますわ、サナ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ