Lv28 アルカイム街道(i)
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しながら介抱している最中であった。
「おい、しっかりしろ!」
「ゲイル! アンザ! ヒュイ! 返事をして!」
必死に名前を呼んでいるが、虫の息といった感じだ。
この3名の負傷者は至る所にかなり深い裂傷を負っている上に、毒に侵されている者もいるみたいであった。
そんなわけで、俺とサナちゃんは、キアリーやベホイミを使って急ぎ治療を開始したのである。
ここまでの怪我人にベホイミを使った事はなかったので、上手くいくのかどうかが少し不安ではあったが、ベホイミは流石に回復力が強く、彼等の深い傷も見る見る塞がっていくのがよくわかった。
治療しておいてなんだが、その効果を目の当たりにして、心強い回復魔法だと俺は改めて思ったのである。
まぁそれはさておき、ある程度傷が回復したところで、俺は彼等に言った。
「これでもう大丈夫だろう。でも出血が多かったから、少し安静にしていた方がいいね。魔法で傷は治せても血は戻らないからさ」
そう……実は、魔法で傷は治せても、出血した血液までは戻らないのである。
これをヴァロムさんから教わった時は、俺も少し驚いた。が、よくよく考えてみると、それが当然なのである。なぜなら、ホイミ系は傷を癒す魔法だからだ。造血まではしてくれないのである。
俺の言葉を聞き、イシュラナの神官服を着た先程の男が、深々と頭を下げた。
「あ、ありがとうございました。助けていただいた上に、仲間の治療までしていただいて。本当に、本当に、ありがとうございました」
「礼なら、あのドラキーにも言ってやってよ。彼が俺達に知らせてくれたんだから」
「そ、そうだったのですか。どうもありがとうございました。貴方のお蔭で私達は救われました」
そう言って、男はドラキーに頭を下げた。
【別にええって。持ちつ持たれつや】
気さくなドラキーである。
「しかし、それにしても災難だったね。あんなに沢山の魔物と遭遇するなんてさ」
「はい……まったくです。私達は、この遥か向こうにあるネルバという小さな村から来たのですが、道中現れる魔物は、ネルバ周辺程度だろうと思って旅してきたのです。ですが……まさか、この地の魔物がここまで強力だとは思いもしませんでした……」
と、ここで、商人と思わしき中年の男が話に入ってきた。
「すまないな、テト君。俺が久しぶりに仕入れに行きたいなんて言ったばかりに、こんな目に遭わせてしまって……」
「いや、僕達の考えが甘かったんです。謝るのはこちらの方ですよ」
「しかし……村で一番の冒険者である君達でも手に負えない魔物が出るとはなぁ……。嫌な世の中になっちまったもんだ。はぁ……」
【はぁ……】
この男の言葉を聞き、冒険者6人も大きく溜め息を吐いた。
と、そこで、レイスさんがやや強い口調で、彼等に忠告をしたのであ
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