585部分:第四十五話 魏延、一目惚れするのことその十七
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第四十五話 魏延、一目惚れするのことその十七
「幾ら何でもな」
「幾ら何でもか?」
「普通はしないぞ」
「しかし刃物だろう?」
「刃物でも料理だぞ」
こう言うのであった。
「それはないぞ」
「そうなのか」
「そうだ。そこからか」
崇雷は呆れてしまっていた。
「全く。どうなのだ」
「どうなのかと言われてもだ」
「言われても?」
「包丁を握るのははじめてだぞ」
珍しく困った顔になっている彼女だった。
「それでどうしろと」
「あんた本当に女か?」
ついつい言ってしまった崇雷だった。
「包丁を今はじめて握ったってな」
「刀ならいつも握っているぞ」
「そういう問題じゃないだろ」
「まあ待て崇雷」
妹が姉のフォローに来た。
「誰にもはじめてのことはあるではないか」
「しかしな。男でも普通この歳には包丁位握ってるぞ」
「姉者はずっと華琳様を御護りしていたのだ」
「それはあんたもだろ?」
「私以上にだ」
そうだというのであった。
「だからだ。こうしたこともだ」
「あるっていうのかよ」
「そういうことだ。姉者には姉者の得意なことがある」
「戦うことだな」
「そうだ。それにだ」
「今度は何だよ」
「貴殿も姉者は嫌いではないな」
微笑んでだ。こう彼に問うたのである。
「それはその通りだな」
「まあ嫌いじゃないけれどな」
やや婉曲的だが、だ。崇雷もそれは認めた。
「裏表がなくてあっさりとしているしな」
「それが姉者のいいところだ」
そうだというのである。
「そういうことだ」
「まあとにかくな」
崇雷は夏侯淵の話を聞きながら述べた。
「俺とあんたでメインでやるぞ」
「うむ、それではな」
「あんたはまああれだ」
「あれとは何だ?」
夏侯惇は崇雷に問い返した。
「私は何をすればいいんだ」
「素材とか持って来てくれ」
そうしてくれというのである。
「その都度な。それだけでいいからな」
「包丁は?」
「持たなくていいからな」
彼にしては歪曲的な表現であった。
「それじゃあな」
「それでは私はそれをするぞ」
「ああ、頼むな」
「ではだ。料理はだ」
夏侯淵が崇雷に言う。
「何にする」
「豚バラを煮込むか」
それだというのであった。
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