Lv25 無垢なる力の結晶
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い頃、ラミナスのコムンスールにて魔法錬成の技法を学びに行っていた事があるのじゃが、そこで儂は『賢者の石』を作り上げたという、古の賢者エリュシアンが書き記した古代文献を目にする事があったのじゃ。それにはこう書かれておった――無垢なる力の結晶を見つけし者は、大いなる力を得ることが出来よう。しかし、手にしようとする者は心得るがよい。初めて手を触れる者の魂が邪悪なる存在だったならば、邪悪なる力の結晶へと変わり、初めて手を触れる者の魂が善良なる存在だったならば、善良なる力の結晶へと変わるであろう。無垢なる力は初めて手にする者が、その運命を決める――とな。まぁ儂も実際に見たわけではないので、どういうものなのかは流石にわからぬが、要は、初めて手に触れた者次第でどうにでも変わる力の結晶という事なのじゃろう」
と、そこで、サナちゃんの驚く声が聞こえてきた。
「リ、リジャールさんはコムンスールで学んでおられたのですか?」
「サナちゃん、コムンスールって、何?」
「コムンスールは、ラミナス最高の魔法技術研究機関の事です。相当優秀な者でないと、その門を潜れないとも言われておりますから、リジャールさんは凄い方なんだと思います」
「まぁ儂の場合はラミナスの者達とは少し事情が違うわい。イシュマリア王の命令で、学びに行っていた身分じゃからな」
リジャールさんはこう言っているが、エリートばかりの研究機関に派遣されるという事は、相当優秀な筈だ。ボンクラをそんな所に行かせるわけないだろうし……。
まぁそれはさておき、俺は質問を続けた。
「話を戻しますが、リジャールさんは、その無垢なる力の結晶とやらを見つけたのですか?」
リジャールさんは頭を振る。
「いや、見つけたわけではない。じゃがの、そうではないかと、儂は見ておるんじゃよ」
「という事は、何か根拠があるんですね」
「うむ。儂とフレイは今から20年前、魔鉱石についてイシュマリア城で調べていた時に、ある事実に気が付いたのじゃよ。それは賢者エリュシアンが無垢なる力の結晶を探し当てた時の状況と、このガルテナの状況が酷似しておるという事じゃ。それからというもの、儂等は、このガルテナのラウム鉱採掘跡について色々と細かく調べ始めた。じゃが、年月が経つにつれ、古い文献や僅かな期間の現地調査で得られる情報では、もう限界が来ておったのじゃ。その為、儂は今から15年前、年齢を理由にイシュマリア城直属の魔法銀錬成技師の職を辞すると、こちらに移り住み、フレイはその3年後にルーヴェラへと移り住むことによって、儂等は本格的な現地調査を開始したのじゃよ」
今の話で少し引っ掛かった部分があったので、俺は訊ねた。
「フレイさんは何故、ここには住まなかったのですか?」
「それは決まっておろう。儂等は秘密裏に事を進めていたからじゃよ。王家に仕
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