Lv25 無垢なる力の結晶
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からね。そのお蔭もあって、魔物達は水を得た魚のように動けたんだと思います」
リジャールさんは頷く。
「うむ、多分そうじゃろう。儂もその瞬間を見ていたのでな。じゃが今にして思えば、あれは儂等をここに足止めして逃走時間を稼ぐ為のものだったのじゃろう。出来るだけ遠くに逃げる為にの……」
「ええ、俺もそう思います。ですが、もしそうならば、今の内に入口の警備強化をしておいた方がいいかもしれませんね。また魔物を率いて、ここにやってくる可能性がありますから」
「確かにそうじゃな」
リジャールさんはそこで、カディスさんに視線を向けた。
「カディスよ、お主達5名も入口の警備に当たってくれぬだろうか? 外にいる者達では心もとないのでな」
「護衛は、コータローさん達がされるのですね?」
「うむ、もう坑道内に魔物はおらぬか、いても少しじゃろうからの」
「わかりました。ではネストールにドーンにゾフィにカロリナ、我々も入口へ向かうぞ」――
[U]
カディスさん達が去ったところで、俺はずっと思っていた疑問を切り出すことにした。
「リジャールさん。少し訊きたい事があるのですが、今、良いでしょうか?」
「なんじゃ、言ってみよ」
「では単刀直入に訊かせてもらいますが、リジャールさんは魔物達がこの坑道の中で何をしているか、もしかすると、薄々気付いていたのではないですか?」
リジャールさんはそれを聞いた途端、目を閉じて無言になった。
それから暫しの沈黙の後、静かに口を開いたのである。
「気付いておったか……いや、妙に鋭いお主の事じゃから、この坑道に入った時点でわかっていたのじゃろう。あの時、魔物と一番最初に遭遇したのは儂じゃないかと、訊いてきたくらいじゃしな」
「ええ……実は昨日、依頼を聞いた時に、少し引っ掛かっていたんです。リジャールさんはあの時、魔物退治ではなく、坑道調査の護衛をお願いしたいと言ってましたのでね。それに加え、俺達が案内されたあの部屋には沢山の鉱石などが置かれていた事と、この坑道に来るまでの森の道は人が頻繁に行き来きするような道ではない事、そして通路床の足跡について訊ねた時、リジャールさん自身が村人の出入りはないと言っていたので、この坑道に用がある人となると、消去法でリジャールさんくらいしか思い浮かばなかったんですよ。おまけに魔物達は村の中ではなく、坑道内に棲みついたとリジャールさんも言ってましたしね。だからそういう結論に達したんです」
「なんじゃ、その時からか」
今の話を聞くなり、リジャールさんはキョトンとした表情になった。
すると、次の瞬間、豪快に笑いだしたのである。
「カッカッカッ、まったく、お主はという男は目ざとい奴じゃのぅ。いや、冷静に物事を良く見ていると言うべきか。まぁええわい。それはとも
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