Lv25 無垢なる力の結晶
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手に花じゃな、コータロー。お前さん、中々、モテるではないか」
「あのですね……この状況下でそれを言いますか?」
「まぁそれだけ、頼りがいのある男じゃと思われとるんじゃよ。素直に喜べ。さ、では行くぞ、コータロー」
「はぁ」
というわけで俺は、アーシャさんとサナちゃんにしがみ付かれながら移動を再開したのであった。
左の通路を真っ直ぐに進んで行くと、行き止まりに差し掛かった。
俺達はそこで立ち止まり、周囲を見回した。
するとそこには、ツルハシや大きなハンマーといった掘削道具がそこかしこに転がっており、通路の真ん中には、岩を運ぶであろう台車のようなものが置かれていたのだ。
俺はこれを見て、ようやく確信した。
ヴァイロン達は、先程襲いかかってきた魔物達を操って、ここを掘っていたという事を……。
敵ながら、実に効率的な方法である。なぜなら、作業員が死体という事は、体力なんぞまったく気にしなくていいからだ。
まぁそれはさておき、リジャールさんは周囲の道具を一瞥すると、行き止まりの岩盤へと近づいた。
そして、そこを眺めながら、悔しそうにボソリと呟いたのであった。
「間違いない……これは儂が考えた掘削ルートじゃ。やはり、あの書簡は、魔物どもの手に渡っていたという事か……悔やんでも悔やみきれぬ。書簡などではなく、儂が直接出向いてフレイに話すべきじゃった……そうすれば、フレイも死なずに済んだものを……全て儂の所為じゃ……」
項垂れるリジャールさんを見て、俺は少し悲しくなってきた。
だが今はそんな事をしている場合では無い為、俺はあえてそれを告げたのである。
「フレイさんを亡くしたリジャールさんの気持ちは、痛いほどよくわかります。ですが、起きてしまった以上、次の事を考えるべきです。そして、今一番の懸念は、敵がこの事を知っている事です。早急に手を打たないと、このガルテナに更なる災難が降りかかるかもしれません。それを避ける為には一刻も早くマルディラントに行き、ソレス殿下の代理を務めるティレス様に事実を包み隠さず話す事だと思います。この先、奴等がどう出てくるかわかりませんが、冒険者だけでは対処できない状況になる可能性も十分にあるのですから」
リジャールさんはそこで俺に振り返る。
「……確かに、お主の言うとおりじゃ。今は、無垢なる力の結晶を魔物達に発見されるのだけは、絶対に阻止せねばならぬ。悲しむのは後じゃな……」
「ええ、悲しむのは後です」――
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