Lv24 魔の種族・エンドゥラス
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て結構です」
ヴァイロンさんはそこでホッと一息吐いた。
「ああ、そういう事ですか。では質問を続けてください」
「それではリュシアさん、質問を続けさせてもらいますが、俺は貴方の話を聞いていて、どうしても腑に落ちない点があるのです」
リュシアさんは首を傾げた。
「腑に落ちない点? 何ですかそれは」
「それは……貴方のその美しい手です」
俺はそこでリュシアさんの手を指差した。
リュシアさんは、恥ずかしそうに自分の手を見る。
「まぁ嫌ですわ……美しい手だなんて。それで、私の手がどうかしたのですか?」
「貴方は先程、暗闇の中を手探りで逃げてきたと仰いましたが、もしそうであるならば、明らかにおかしいのですよ」
「おかしい?」
俺はそこで、空洞の壁際に移動する。
そして壁を手でサッと触れると、リュシアさんにソレを見せたのだ。
「この壁を触れた俺の手を見てもらえばわかると思いますが、この坑道内を手探りで移動したならば、必ず青く手が汚れるんです。しかも手探りで進み続けたのなら、相当汚れたと思いますから、払ったところでそう簡単には落ちない筈ですからね。しかし、貴方の手は汚れの無い、非常に美しい肌をしている。ですから、それについて納得のいく説明をしてもらいたいのですよ」
「そ、それは……」
リュシアさんは青褪めた表情になり、押し黙ってしまった。
痛いところを突かれたからだろう。
10秒、20秒と時間が過ぎてゆく。
このままだと日が暮れそうなので、俺は話を進めた。
「その様子を見る限り、答えられないという事ですね。まぁ確かに、答えてしまうと、今まで話した内容の辻褄が合わなくなりますから、そうなるのも無理はないでしょう。なぜなら貴方は、明るい環境でここまで移動し、そして潜んでいたのですからね」
俺はそこで一旦話すのを止め、リュシアの様子を見た。
リュシアは俯いたままプルプルと震えていた。
反論はないようなので、俺は話を続ける事にした。
「しかし、貴方の話は、それ以外にもおかしな事ばかりでした。今の手の汚れもそうですが、魔物の姿にしろ、魔物の数にしろ、貴方は俺の質問に淀みなく答えていますが、それも良く考えてみると、あり得ない事なんですよ」
ここでアーシャさんが俺に訊いてくる。
「コ、コータローさん。あり得ないって、どういう事なんですの?」
俺はリジャールさんの頭上で輝く、レミーラの明かりを指さすと言った。
「今はレミーラのお蔭で周囲は明るいですが、俺達が来るまで、この空洞は真っ暗だったんです。そんな中で、魔物の姿や数など、わかるわけがありません。つまり、リュシアさんの言っている事は、全て嘘の可能性が高いんです。そして問題は……貴方がなぜ、そんな嘘を吐いたのかという事なんですよ。しかし、恐らく、貴方は
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