Lv23 ラウム鉱採掘跡(i)
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(何があったんだ、一体……)
俺達は脇目もふらず、急いでそこに駆け寄る。
と、そこで、冒険者の若い男が俺達に振り返った。
「カディスさん! た、大変ですッ!」
「一体、何があった?」
「さっき突然、坑道の中から魔物がドッと現れて、ヴァイロンさんがかなり深い傷を負ったんです。ですが、リュシアさんはヴァイロンさんが死んだと思ったのか、逆上してしまって……1人で魔物達を追って、坑道の中に行ってしまったんですよ」
冒険者の男はそう言って、坑道の入り口と地面に伏せる白いローブを着た冒険者を交互に指さした。
「何だとッ」
カディスさんは顔を顰める。
俺はそこで、負傷したヴァイロンという冒険者に視線を向けた。
すると、周囲の冒険者達に、ホイミと薬草で今は治療してもらっているところであった。
かなり深く負傷したのか、着ている白いローブは所々真っ赤な血で染まっていた。見るからに重傷といった感じだ。
カディスさんは険しい表情で、坑道の入口に視線を向けた。
「仕方ない……俺達が連れ戻すしかないな」
【ま、待ってくださいッ!】
声を上げたのは、ヴァイロンという冒険者の男であった。
ヴァイロンという冒険者は、右手で左肩を押さえながら立ち上がる。
それは若い人間の男であった。年は20代半ばといったところだろうか。
しかも、すんごい美肌の中性的なイケメンで、女には不自由して無さそうな顔であった。勿論、髭などは生やしていない。目や鼻も、線が細く、美しい顔立ちであった。
またそれに加え、風に靡くサラッとしたきめ細かな長いブロンドの髪が、より一層、この男をカッコよく引き立てているのである。
だが、どことなくではあるが、冷たい雰囲気を感じる男であった。もしかすると、女関係にはドライな性格なのかもしれない。
まぁそんなどうでもいい話はさておき、ヴァイロンという男はカディスさんに向かい、今にも泣き出しそうな弱々しい表情で頭を下げた。
「カ、カディスさん。妹が逆上して、1人で坑道の奥に行ってしまったッ。お願いだッ! リュシアを連れ戻す為に、俺も貴方達に同行させてくれッ。たった1人の家族なんだッ」
カディスさんは眉間に皺を寄せる。
「しかし、ヴァイロン……お前は今、死ぬかもしれない程の深い傷を負ったのだぞ。大丈夫なのか?」
「傷はもう大丈夫です。坑道内では勝手な行動はしないと誓う。だから、お願いだ。リュシアを救出する為に俺も同行させてくれッ」
カディスさんはそこで、リジャールさんに視線を向けた。
リジャールさんは頷く。
「まぁ仕方あるまい。この入口の警護は多めに冒険者を配置してあるから、2人欠けても暫くは影響ないじゃろ」
「あ、ありがとうございます。リジャールさん」
ヴァイロンという男は感謝のあま
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