Lv19 変化の杖
[1/14]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
[T]
翌日の早朝……夜が明け始める頃に、俺は目を覚ました。
日本にいた時は、こんな薄暗い時間帯に目を覚ます事なんて殆どなかったが、この夜明けの時間帯は普段、魔物と実戦訓練をする事になっている。それもあってか、俺の中の体内時計はこの時間帯に目が覚めるようセットされているのだ。まぁ要するに習慣というやつである。
(朝か……少し眠いけど、起きるとするか)
俺はそこで大きく欠伸をした。
だがその直後、左脇腹の辺りに違和感を覚えたのである。
(ン? ……なんだ……何かあるぞ……)
俺はそこに視線を向ける。
するとそこには、スヤスヤと寝息を立てるアーシャさんの可愛い寝顔があったのだ。
一瞬、何でここにアーシャさんがいるんだ? とも思ったが、頭の中が徐々に覚醒してゆくに従い、昨晩、アーシャさんがこの部屋にやってきた事を俺は思い出したのである。
(そういや……一緒に寝ることになったんだっけ……)
アーシャさんは俺の胸に顔を半分うずめ、両手で抱き着くという寝姿であった。
早い話が、俺は今、アーシャさんの抱き枕となっているわけである。
とはいえ、可愛い子なので、抱き着かれている俺も悪い気はしなかった。寧ろ、ラッキーと思っていた。
だが今の俺は、恒例の朝モッコリの最中であり、エロい事を考えていないにも関わらず股間はビンビンであった。なので、当然、変な気分にもなってくる。
そして次第に『やっちゃえ、やっちゃえ』という危険な幻聴まで聞こえてくるようになったのだ。が、しかし……流石に、それは恐ろしくてできなかった。やったら最後、ソレス殿下の刺客に俺は狙われることになるからだ。その為、俺はブンブンと頭を振って、今の雑念をなんとか振り払ったのである。
煩悩に打ち勝った俺は、そこでアーシャさんの寝顔に目を向けた。
その表情はすっかり安心しきった感じで、昨晩の様な怯えた雰囲気は微塵も感じられなかった。というか完全に安眠状態である。
昨晩の俺はセクハラまがいの行動をしていたが、この表情を見る限り、アーシャさんを安心させる効果があったようだ。やってよかったという事だろう。
まぁそれはさておき、俺はアーシャさんを起こさないよう、そっと上半身を起こすと、両手を広げて大きく背伸びをした。それからベッドを降り、この部屋に1つだけある窓をそっと開いたのである。
窓の向こうには、うすい靄がかかるフィンドの街並みが広がっていた。それはまるで水墨画の世界のようであった。
そして俺は、そんなフィンドの街並みを眺めながら、独り言ちたのである。
「さて……顔を洗って、賢者のローブに着替えたら、門を開く修行でも始めるか……」
そう、修行だ。
今はこんな状況なので魔物との実戦訓練は出来ないが、魔生門を開く修行は続けて行か
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ