Lv19 変化の杖
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うわけだ。
「そうだったのですか。でも、これからどこかに行くときは、必ず私に一言言ってくださいね。……起きた時に……貴方がいなかったので、どれだけ私が不安だったか……。昨晩……私を守ってくれるって言ってくれたから……嬉しかったのに……コータローさんは……私の……」
最後の方はボソボソとした言い方だったので、ハッキリと聞き取れなかった。
だが特定の単語は聞き取れたので、俺は思わず、それを口に出していた。
「へ? 不安? 嬉しかった?」
するとアーシャさんは、なぜか知らないが、頬を赤く染めた。
「な、何でもありませんわ。こちらの話ですッ。それよりも、今言ったこと忘れないでくださいね!」
「確かに無断は良くないですね。わかりました。これからは気を付けます。アーシャさんにはちゃんと報告するようにしますよ」
「よろしい。約束ですわよ」
そしてアーシャさんは、ニコリと微笑んだのである。
(よかった……とりあえず、機嫌は良くなったみたいだ)
俺はホッと胸を撫で下ろした。
だがそこで、昨晩のアーシャさんの様子が、脳裏に蘇ってきたのである。
俺は忠告の意味を込め、アーシャさんに話すことにした。
「あの、アーシャさん……お話があるのですが」
「話? 何ですの?」
「……昨晩、アーシャさんはザルマに対して怯えておられましたが、これから先、ああいった事が起きる可能性が十分にあり得ます。なので、アーシャさんはマルディラント城にて待機してた方がいいんじゃないでしょうか? まぁこれは、俺個人の意見ではありますが……」
だが俺の忠告もむなしく、アーシャさんは即座に首を横に振ったのである。
「いいえ、私は貴方に付いていきますわ。それに私は、このイシュマリアで今、何が起ころうとしているのか、それを見届けたいのです。これは私の勘ですが、オルドラン様は何か重大な秘密を知った為、投獄されるような事になったのではないかと思っています。ですから、コータローさんに何を言われようと、私は貴方と一緒に行きますわ。それに、私だってオルドラン様の弟子です。この結末を見届ける義務がありますわ」
この表情を見る限り、意志は固いようだ。
もう説得は無理だろう。
「……わかりました。でも、あまり無茶はしないでくださいよ。俺もアーシャさんを守る為に精一杯努力しますが、それでもやはり限界というものがありますからね」
「ありがとうございます、コータローさん。私、貴方を信頼してます。だから、貴方の言う通りにしますわ。それに私……貴方と一緒にいると、不思議と安心できるのです」
俺を信頼している上に、一緒にいると安心できる……か。
まさか、アーシャさんにそんな風に思われていたとは……。
初めて会った頃の刺々しさから考えると、俺は凄い評価されてるようだ。
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