Lv19 変化の杖
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空を見上げると昨日に引き続き、雲一つない青空が広がっており、そこから清々しい陽光が降り注いでいた。
この様子だと、今日の降水確率はかなり低そうである。ありがたい事だ。
周囲に目を向けると、遠くに小さく見える山々の姿と広大な緑の草原、それから、どこまでも続く街道が視界に入ってくる。
それは、昨日マルディラントを出発した時と同じような光景であった。が、流石に心境まで同じとはいかなかった。やはり、昨日の事があるので、どうしてもネガティブな思考になってしまうのである。
俺はそこで他の4人に目を向けた。
皆も俺と同じ心境なのか、どことなく硬い表情になっていた。
とはいえ、こればかりは仕方がないだろう。昨日の今日で笑顔になれというのが、無理な話だからだ。
話は変わるが、馬2頭を手に入れた為、人員の配置が少し変わった。
御者は勿論レイスさんだが、手に入れた馬2頭はシェーラさんに面倒を見てもらう事になったのだ。
その為、馬車の中は、俺とアーシャさんとサナちゃんの3人だけという構成になっているのである。
つーわけで、話を戻そう。
俺が皆の様子を見ていると、そこでサナちゃんと目が合った。
するとサナちゃんは、ニコリと俺に微笑んだのである。
「コータローさん、今日もいい天気ですね」
「そうだね。今日の空模様だと、雨は大丈夫かな」
「私もそんな気がします。あ、そうだ、昨日、訊きたかった事があるんですけど、今よろしいですか?」
「訊きたかったこと? 何だい?」
「昨日、ザルマに襲われた時、コータローさんは、あの魔物達を知っていると言ってました。しかもその後、こうも言ってました。ベホマはベホイミの更に上の高位魔法だと。それについてどうしても訊きたかったのです」
それを聞き、隣にいるアーシャさんもハッとして、俺に視線を向けてきた。
「そ、そうでしたわ。私も、それを訊かねばと思っていたのです」
(これはもう、下手な言い訳は出来ない状況だな……仕方ない、少しアレンジして話すとしよう。だがその前に……)
俺は1つ条件を提示した。
「話してもいいですが、この事は俺達だけの秘密にしてくださいね」
2人は顔を見合わせて頷いた。
「わかりました。他言はしませんわ」
「私も他言はしないと固く誓います」
「じゃあ約束だよ」
俺は少しだけボカシながら、その辺の事を話すことにした。
「実はね……俺が以前住んでいた所に、沢山の魔物や魔法について記述された書物があったんだよ。それを以前読んだ事があったから覚えていたんだ。とはいっても、俺も実際に見たわけじゃなかったから、実物を見るまで信じられなかったけどね」
実物を見るまで信じられなかったというのは、俺の本心である。嘘偽りはない。
サナちゃんが訊いてくる
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