Lv17 フィンドの町
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…コ、コータローさん……】
俺は後ろを振り返る。
するとそこには、気まずそうな表情を浮かべたサナちゃんが、シュンとしながら立っていたのだ。
「ん、何だい、サナちゃん」
サナちゃんは、懐から紺色の液体が入った小瓶を取り出し、俺へと差し出した。
「あの……コータローさんは先程、魔力が尽きたと言っておりました。ですから……この魔法の聖水をお使いください」
「サナちゃん、気にしなくていいよ。さっき、魔力回復させる道具を使ったから少しは回復してるしね」
「で、でも……私、助けてもらっておいて、今はこんな事くらいしか出来る事がないんです。だから、どうか使ってください。お願いします」
サナちゃんはそう言うと、深々と頭を下げてきたのである。
この子なりに気を使っているのだろう。
「とりあえず、気持ちだけ受け取っておくよ。それは貴重な魔法回復薬だから、サナちゃんが使った方がいい」
「でも……」
「気にしない、気にしない」
俺はそう言って、サナちゃんの頭を優しく撫でた。
すると恥ずかしかったのか、サナちゃんは赤面しつつ顔を俯かせたのである。
こういう部分は見た目の影響か、すごく子供っぽい仕草であった。
(可愛い、エルフの女の子って感じだな……ン?)
と、そこで、レイスさんの声が聞こえてきた。
「コータローさん、馬はだいぶ調子を取り戻した。いつでも出発は出来るが、どうしようか?」
「ではすぐに出発しましょう。この先で、少し調べたい事もあるので」
するとロランさんが、慌てて俺に話しかけてきた。
「あ、あの、私達も一緒に連れて行ってもらえないでしょうか? 厚かましい事だとは私も承知しています。ですが、どうかお願いします。また魔物達に襲われるのかと思うと、私はもう……」
ロランさんは身体を震わせながら頭を下げた。
奥さんと娘さんもロランさんに続く。
「私からも、どうかお願いします」
「お願いします」
さすがに、今のロランさん一家を置いていくような鬼にはなれないので、ここは俺の独断で返事をしておいた。
「いいですよ。じゃあ、乗ってください」
「あ、ありがとうございます」
ロランさんは少し涙目になっていた。
あんな魔物を見た後だから、無理もないだろう。
まぁそれはさておき、俺達は早速、馬車へと乗り込んだ。
そして、全員が乗ったところで、俺は御者席にいるレイスさんに告げたのである。
「ではレイスさん、出発してください」
「了解した。ハイヤッ」
レイスさんの鞭を打つ掛け声の後、馬車はカラカラと軽快に動き出した。
予想外の展開があった為、やや長い休憩になってしまったが、なんとか旅を再開する事ができたので、とりあえずは良しとしよう。
まぁそんなわけで、また周囲を警戒しながらの移動
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