Lv16 黒き魔獣
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言ったでしょう。後で殺して差し上げますから、向こうで待ってなさい。フンッ】
「ウワァ」
「キャァ」
先程と同じように、レイスさんとシェーラさんは、俺の背後にある岩壁に投げつけられ激突する。
そして2人は落下し、地面に伏したのであった。
2人が行った無謀な攻撃で、俺達が最悪な事態になりつつあった。
そう……全滅という二文字が思い浮かぶところまできているのである。
だがしかし、俺は今の攻防を見たことにより、まだ試していなかった攻撃方法が脳裏に過ぎったのだ。
そしてソレならば、奴の身体を切り裂く事が可能かもしれないと考えたのである。
とはいえ、それは著しく魔法力を消耗してしまう方法でもあった。
その為、俺の中に迷いも同時に生れてきた。
しかし、今はどの道、魔法が使えない状況なのを考えると、もはや選択の余地はないのかもしれない。
使うべきか否か……俺はそれを悩みつつ、投げ飛ばされたレイスさん達に視線を向けた。
地に伏せる2人の額や腕からは、真っ赤な血がドクドクと流れ、そして滴っていた。
満身創痍……これが今の2人を表す言葉であった。
恐らく、立つことも敵わないくらいにダメージを負っているに違いない。早く治療をしないといけない状態だ。
その為、俺は急いでレイスさん達に駆け寄り、道具袋に入れておいた薬草を手渡したのである。
「レイスさんにシェーラさん、今はこれを使ってください。多少は効果がある筈です」
「す、すまない」
「ありがとう、コータローさん」
と、その時であった。
地の底から響いてくるような物凄い雄叫びが、辺りに響き渡ったのである。
【ガウォォォォォォォォォン! ガウォォォォン!】
森の中にいた鳥たちは今の雄叫びに驚き、木から一斉に飛び立っていった。
また、雄叫びを聞いたサナちゃんとアーシャさんは、ブルブルと震えながらその場に立ち竦んだのである。
俺は直観的に思った。
これは獣系の魔物がゲームでよく使う、雄叫びというやつだと。
立ち竦む2人を見たザルマは、ニヤリと笑みを浮かべ、愉快そうに話し始めた。
【おやおや、身が竦むほどに驚かせてしまいましたか。ククククッ、これは失礼しました、イメリア様。では折角なので、すぐに楽にして差し上げましょう】
ザルマは2人に向かって悠々と歩みだした。
(こ、このままでは2人が危ない!)
俺はそう思うや否や、反射的に駆け出していた。
そしてあの攻撃方法を試すしかないと、俺はこの瞬間、決心したのである。
俺は立ち竦むサナちゃんとアーシャさんの前に来ると、こちらに向かってくるザルマと対峙した。
そこでザルマは、大きな口を開ける。
【魔法の使えぬ魔法使いが何をするというのです。お前諸共、その娘達を切り裂
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