Lv16 黒き魔獣
[9/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の直後、黄色い霧のようなモノが玉から発生し、辺りに漂い始めたのである。
俺は毒ガスかと思い、袖で咄嗟に口と鼻を塞いだ。
と、そこで、ザルマの不愉快な笑い声が聞こえてきたのである。
【ククククッ……心配しなくても毒ではありませんよ。いや、魔法使いにとっては毒かもしれませんがね。クククククッ】
(どういう意味だ、一体……しかし、ここは攻撃の手を緩めてはいけない……)
そう思った俺は、アーシャさんとサナちゃんに指示をだした。
「アーシャさん、奴にマホトーンをお願いします。それからサナちゃんは、ピオリムをもう一度かけてください」
2人は頷くと呪文を唱えた。
【マホトーン】
【ピオリム】
だがしかし……何も起こらなかった。
訝しげに思った2人は、もう一度、呪文を唱える。
【マホトーン】
【ピオリム】
しかし、何も起こらない。
なぜかわからないが、彼女達の声が虚しく響き渡るだけだったのだ。
ザルマの嘲笑う声が聞こえてくる。
【クハハハハッ……言い忘れましたが、今使ったのは呪文を無効化する道具ですので、マホトーンなど使わなくても大丈夫ですよ。なぜなら、この場で魔法はもう使えないのですから。ククククッ。まぁ私も魔法を使えなくなりましたが、今の私にとって、手負いの戦士や魔法が使えない魔法使いなど恐るるに足りませんのでね。ああ、それともう1つ言っておきましょう。この無効化は私が死ぬまで解除されませんので、そのつもりでいて下さい。ククククッ】
「な、なんですって……」
「そんな……」
アーシャさんとサナちゃんは青褪めた表情になった。
勿論、俺もである。
もしそれが本当ならば、俺達の唯一のアドバンテージが無くなったということなのだ。
(ヤバい……万事休すか……)
俺は逃げ道を探そうと、周囲を見回した。
だがそんな俺を見たザルマは、そこで少し後ろへ下がり、俺達の退路を断つかのように4本の腕を広げたのである。
【クククッ、逃がしませんよ。貴方がたの旅はここで終わりです。観念しなさい】
と、そこで、レイスさんの声が聞こえてきた。
「コータローさん……我々が奴の気を引き、逃げ道を切り開く。だからイメリア様を連れてここから逃げてくれ!」
そう告げるや否や、レイスさんとシェーラさんは、奴に突進したのである。
「ちょ、ちょっと待ってッ! 2人とも先走らないで!」
2人は間合いを詰めると、勢いを殺さずに奴に斬りかかる。
「でやぁ!」
「セァ!」
ザルマの身体に2人の剣が鋭く食い込む。が、しかし……やはり、先程と結果は同じであった。
奴に深手を負わせるまではいかなかったのだ。
ザルマはニヤリと笑みを浮かべると、2人の手足を掴む。
【貴方がたも凝りませんねぇ。鋼の剣程度では無理だとさっき
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ