Lv15 旅立ち
[12/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
気は感じられない。いや、それどころか、明らかに敵意……いや、殺意を持っているようにさえ見えるのであった。
ザルマは不敵に微笑む。
【久しぶりですな、イメリア様。お元気そうで何よりだ。ククク……貴方がたがマルディラントを出るのを、長い間、今か今かと待ったかいがありましたよ】
この男の視線を見る限り、イメリアというのはサナちゃんの事のようだ。
俺とアーシャさんは、どうやら、レイスさん達の因縁に巻き込まれたみたいである。
もしかすると俺達は、仲間探しでとんでもないジョーカーを引いてしまったのかもしれない。最悪だ。
と、そこで、意外なところから声が上がったのである。
「お、おい、アンタッ! 言われた通り、この人達を連れてきたんだ。妻と娘を早く返してくれ!」
声の主はロランさんであった。
【おお、そうでしたね。ご苦労様でした。お約束通り、妻子を解放しましょう】
ザルマはそう言うと、指をパチンと鳴らした。
するとその直後、前方の森の中から、10匹の魔物がゾロゾロと現れたのである。
(チッ……これは罠だったのか……ロランさんの事を不審に思ってはいたが、周囲の警戒に気を取られて思考が停滞してたようだ……クソッ)
俺達は武器を手に取り身構える。
だが、俺は現れた魔物を見て、戦慄を覚えたのである。
「こいつらは……クッ」
そこにいた魔物……それは、4本の腕と脚をもつアームライオンが2体に、紫色の大猿キラーエイプが2体、豚の獣人オークが4体……そして赤いクラゲの様なベホマスライムが2体であった。
非常に不味い展開である。
どいつもこいつも、中盤から後半にかけて現れる、それなりに力のある魔獣だからだ。
挙句の果てに、後ろは行き止まりで逃げ場はない。
これは将棋でいう詰みに近い状況なのである。
アーシャさんの震える声が聞こえてくる。
「な、なんですの、この魔物達は……。こんな醜悪な魔物は、図鑑でも見た事ありませんわ」
どうやらアーシャさんのこの反応を見る限り、ここでは新種の魔物なのかもしれない。
俺はそこで、アームライオンの1体に目を向けた。
視線の先にいるアームライオンの4本腕には、ロランさんと同年齢と思われる女性と、若い女性が捕らわれていた。
これら一連の流れを見るに、ロランさんは家族を人質にされていたので、やむにやまれず、俺達をここに招いたのだろう。
(汚い真似をしやがる……)
ザルマはそこで、アームライオンに指示した。
【さて、ではこの男に、妻子を返してやりなさい】
アームライオンは奥さんと子供を離した。
2人はその直後、泣きながら、ロランさんの元に駆け寄り、抱きついた。
「あなた!」
「お父さん!」
「無事だったか、2人共!」
ロランさんは2人を優しく抱擁す
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ