第二章 御子の国イシュマリア
Lv13 新たな潮流
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は言えぬ。とりあえず、必要な事はラーさんにすべて伝えてある。じゃから、儂が10日経っても帰らぬ場合は、ラーさんの指示に従ってほしいのじゃ。よいな?」
何か奇妙な引っ掛かりがある言い回しだが、これ以上は聞き出せそうにないようだ。
まぁいい。無理に聞き出す必要もない。
「わかりました……そうしますよ。ところで、俺とアーシャさんの修行はどうするんですか?」
ヴァロムさんはそこで壁際の机を指差した。
「一応、アーシャ様に関しては、修行内容を書いた物を儂の机の上に置いておく。じゃから、明日の朝、アーシャ様が来たら、それに従ってやってほしいと伝えておいてくれ」
「アーシャさんのは分かりましたけど……俺は?」
「お主は魔力を扱う基礎訓練と、この間教えた『魔生門』を開く為の修行を続けるのじゃ」
魔生門……。
ヴァロムさん曰く、この世に生を受けた全ての生物に存在する門らしい。
しかもこの魔生門は、魔力を生み出す霊体と肉体との間にあるそうで、通常は魔法を使える者も使えない者も、この魔生門というのが閉じている状態で生活をしているそうなのだ。
要するに、普通に生きていれば、開くことなど決してない門というわけなのである。
だが、魔生の法と呼ばれるチート技能を得るには、これを開かない事には話にならないようで、俺はその門を開く為の修行をこの間から始めているのであった。
「という事は、俺はいつも通りの修行という事ですね」
「うむ。お主はそれを続けるのじゃ。魔生門を開くには根気がいる。じゃから、儂がいようがいまいが、毎日続けるのじゃぞ。よいな」
「はい、わかりました――」
そして翌日の夜明け前に、ヴァロムさんは王都へと向かい馬車を走らせたのであった。
[V]
ヴァロムさんが王都に向かってから9日目の事である。
その日の朝、それは起きたのだ。日課になっている実戦訓練から帰ってきたところで……。
俺が洞穴の中に入ろうとした時、丁度そのタイミングで、アーシャさんが空から一筋の白い光と共に現れたのである。
いつ見ても思う事だが、この風の帽子は有り得ない移動手段である。
またそう考える度に、この風の帽子がうらやましく思うのであった。ああ、無念だ……。
まぁそれはさておき、アーシャさんは俺に目を止めると、慌てて駆け寄ってきた。が、少し様子が変であった。
なぜか知らないが、青褪めた表情をしていたのである。
「コ、コータローさん!」
俺はとりあえず、普通に挨拶をしておいた。
「おはようございます、アーシャさん。どうかしたんですか? 修行の時間には、少し早い気がしますけど……」
するとアーシャさんは、今にも泣きそうな表情で話し始めたのである。
「コータローさん……オルドラン様が……オルドラン
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