第二章 御子の国イシュマリア
Lv13 新たな潮流
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。が、しかし……俺が判断するより先にラーのオッサンが話し始めたのである。
「アーシャさん、コイツはヴァロム殿から、ある役目を与えられておるのだよ」
「役目? 何ですの、それは?」
「ふむ……まぁまだ10日経ったわけではないが、もう言っても良いだろう。実はヴァロム殿から、『自分が10日経っても帰って来ない場合は、マール地方にあるガルテナという村を経由して、コータローを王都オヴェリウスへと向かわせてほしい』という指示を我は受けたのだよ」
それを聞き、アーシャさんは驚きの表情を浮かべた。
「ガルテナですって……何でまたあのような所に」
「知ってるのかい?」
アーシャさんは頷く。
「行った事はありませんが、知ってはいますわ。一応、マール地方の最北に位置するところですから。でも、かなり山の中を進まないといけないので、あまり人が寄り付かない辺鄙な所だと聞いたことがありますわ」
どうやら、かなりの田舎みたいである。
「山の中を行かなきゃならんのか……。話を聞く限りだと、なんか面倒くさい場所に聞こえるな。でも、行くしかないか。ヴァロムさんの指示だし……」
俺が少しゲンナリする中、アーシャさんはオッサンに訊ねた。
「ラー様……ガルテナへは、コータローさんが1人で行かなければならないのですか?」
「いや、そんな指示は受けてないが」
「そうですか……それなら私もお供しようかしら」
何を考えてるんだろう、この子は……。無茶にも程がある。
俺は思わず言った。
「はぁ? お供って……そんな事したら、ソレス殿下も流石にキレますよ。それに長旅になりそうですから、アーシャさんのような女性には危険が一杯です。だから絶対ダメっすよ」
だがアーシャさんは折れてくれなかった。
「なら貴方が私を守ってくれればいいじゃないですか。というわけで、今日から貴方は、私専属の護衛者に任命しますわ」
「専属の護衛者に任命って……話の流れ的に、その受け答えおかしくないですか?」
「おかしくありませんわ。それに他にも方法があります。マルディラントにあるルイーダの酒場で、旅の仲間を募ればいいんですよ」
なんか懐かしい名前が出てきたが、そんな事よりも今はこの子の説得だ。
そう思った俺は、ラーのオッサンに助けを求めた。
「おい、ラーのオッサンもなんか言ってくれよ。ヴァロムさんだって、こんなの絶対にうんと言わない筈だ」
「ふむ……だがそんな指示は、我も受けてはおらぬからの。別にいいんじゃないか、アーシャさんが一緒に向かっても」
「いや、受けるとか受けないとかじゃなくてさ」
と、俺が言いかけた時だった。
アーシャさんが、有無を言わさぬ速さで捲し立てたのである。
「流石、ラー様ですわ。話が分かります。じゃあ決まりですわね。それじゃあ、コータローさん。
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