Lv12 精霊王
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ヴァロムさんは微笑んだ。
「それに関しては心配しなさんな。儂は一応、古代リュビスト文字を読み書きできるからの」
「ならいい。コータローやアーシャさんは読めぬようだったから言ったまでの事だ」
精霊と意思疎通を図れる文字……。
実を言うと俺は、新たに入ってきた情報に少し混乱していた。
だが、こればかりは仕方がないのである。
なぜなら、古代リュビスト文字はおろか、この世界で今現在使われている文字すら、俺は知らないからだ。
その為、今の話を聞き、俺は改めて思ったのであった。
精霊はともかく、せめて人と意思疎通を図れるように、俺もこの世界の文字を学ばなければいけないと……。
[U]
俺達が客間で話を始めてから15分ほど経過した頃、入口の扉をノックする音が聞えてきた。
その為、俺は慌ててオッサンを胸元に仕舞い込み、ヴァロムさんにOKの合図を送ったのである。
ヴァロムさんはそこで訪問者に呼びかけた。
「何であろうか?」
「オルドラン様、アーシャにございます。中へ入らせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「構いませぬぞ。どうぞ入りなされ」
「では、失礼いたします」
そしてガチャリと扉が開き、アーシャさんがこの部屋の中へと入ってきたのである。
中に入ったアーシャさんは、俺の隣に腰かけると、A4くらいの白い紙をテーブルの上に置いた。
「オルドラン様、これがミュトラの書の記述であります」
「どれどれ。では早速、拝見させて頂こう」
ヴァロムさんは紙を手に取り、マジマジと見た。
暫し無言でそれを見た後、ヴァロムさんはアーシャさんに言った。
「アーシャ様、何か書き記す物は無いかの。この記述は結構長い。解読した言葉を控えておきたいのじゃ」
「そう仰ると思いまして、用意してきましたわ」
アーシャさんはそう言って、若干赤茶けた感じの紙とペンのような物をテーブルの上に置いた。
「流石アーシャ様じゃわい。気が利くの」
そしてヴァロムさんは、ミュトラの書の解読作業に取り掛かったのである。
ヴァロムさんがミュトラの書の解読作業を始めてから、既に20分が経過していた。
今も尚、ヴァロムさんは紙と睨めっこしている最中である。
俺とアーシャさんは解読作業の邪魔にならないよう、静かにしているところであった。
というわけで、今は俺にとって少々退屈な時間となっていたのである。
何か世間話でもしたいところではあったが、如何せん、そんな空気ではないので、今暫くは我慢するしかないのだ。
(まだまだ時間が掛かるんかな……イデア神殿の石板よりは文字数が少ないから、そこまでは掛からないと思うけど……ン?)
などと考えていたその時であった。
ヴァロムさんが手を止め、顔を上げたのである。
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