Lv11 魔炎公
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法だ。
「へぇ……なるほどね。なんか知らんけど、ちゃんとフォカールを認識できるようになってたよ。で、どうするんだ?」
「では次だが、どちらの手でもいいから、まず、人差し指と中指だけを伸ばし、魔力の流れをその指先まで作れ。それからフォカールと唱えよ」
「おう、わかった」
俺は早速言われた通り、右手の人差し指と中指だけ伸ばして、魔力を向かわせ、呪文を唱えた。
【フォカール】
と、その直後、伸ばした2本の指先に、紫色の強い光が出現したのである。
「おお! なんかよく分からんけど、指先に光が現れたぞ」
「なら後は簡単だ。その指先を真下に向かって振り下ろせばいい」
「え、それだけ?」
「ああ、それだけだ。やればわかる。さぁ、やれ」
いまいち要領を得ないが、俺は言われた通りにその指を振り下ろした。
すると次の瞬間、なんと、空間に切れ目が現れたのである。
「うわ、なんだよこれ……。空間が裂けたじゃないか!」
「ど、どうなってるんですの!?」
アーシャさんも驚きを隠せないのか、大きく目を見開いていた。
「このフォカールはな、空間に物を保管する為の魔法だ。だから、その切れ目の中に物を仕舞えばよい。空間を閉じる時は、逆に下から上へもう一度振り上げるだけだ。どうだ、簡単だろう? しかも、どこででも物を出し入れできる便利な魔法だ。有効に使え」
「マ、マジかよ……」
想定外の魔法であったので、俺は素で驚いていた。
話を聞く限りだと、まるでジョジ○に出てきたスタンド・スティッキーフィンガーズみたいな魔法である。
まぁあそこまでの汎用性はなさそうだが……。
とはいえ、かなり使えそうな魔法のようである。
俺がフォカールに感心していると、アーシャさんが慌ててオッサンに訊ねた。
「ラー様ッ、魔法書が灰になりましたけど、この魔法は、今の魔法書がないと覚えられないのですかッ? わ、私には覚えることが出来ないのですか?」
「確か、魔法書は1つしかなかった筈……残念だが、そうなるな」
「そんなぁ……聞いてないですわよ……。こんな事なら、私がやればよかったですわ……ふぇぇん」
アーシャさんは悲しい表情で、ガクンと肩を落とした。
見た感じだと、相当落ち込んでいるみたいだ。
俺もまさか、魔法書が灰になるとは思わなかったので、こればかりは少し悪い気がした。
しかし、魔法書がもう既に無いので、今更どうしようもないのである。
「それはそうとお主達、この床にある武具や道具をそろそろ片づけたらどうだ?」
「そういえば、それが目的だったな。魔法の凄さを見た所為で、忘れてたよ」
「はぁ……そうですわね。片付けて、もう戻りましょう。疲れましたわ……」
アーシャさんは元気なくそう言うと、道具類を空間の切れ目へと仕舞っていった。
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