Lv10 ラーの鏡
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た。
すると確かに黄金の扉は消えており、そこには鏡の壁があるだけなのであった。
それだけではない。先程まで消えていた黒い扉も、ちゃんと見えるようになっていたのである。
「どうやら、まやかしは解けたようですね」
「ええ、そのようですわ。それにしても、よくこの謎が解けましたね、コータローさん……私では無理でしたわ。流石、オルドラン様がお認めになった弟子なだけあります」
「何言ってるんですか。この謎が解けたのはアーシャさんのお蔭なんですよ」
アーシャさんはキョトンとした表情になる。
「え、私のお蔭?」
「あの時、アーシャさんが影と言ってくれたお蔭で、謎が解けたようなもんですからね。それまでは俺も、チンプンカンプンだったんですから」
「でもそれだけで、謎が解けたのですから十分凄いと思いますわ」
そしてアーシャさんは、優しく微笑んだのである。
俺はそこで、プラトンの洞窟の比喩を口にした。
「……人間は洞窟の中にいて、後ろを振り向く事が出来ない。入り口からは太陽が差し込んでおり、イデアを照らし、洞窟の壁に影を作り出す。 後ろに真の実体があることを知らない人間は、その影こそを実体だと思いこむ……」
アーシャさんは首を傾げる。
「なんですの、その言葉は?」
「これはイデア論と言いまして、俺の故郷にいた大昔の哲学者が残した言葉なんです。実はですね、さっきの試練がこれとそっくりだったんですよ。だから気づいたんです。なので、たまたま解けただけなんですよ」
アーシャさんは顎に手を当てて、ちょっと興味深そうな仕草をしていた。
「イデア論……そんなものがあったのですか」
「ええ。だから、アーシャ様がこれを知ってたのなら、多分、解けたと思いますよ」
俺はそこで言葉を切ると、後ろの壁に視線を向けた。
するとそこには、さっきまで反対側にあった黄金の扉が、仄かな光を放ちながら、厳かに佇んでいたのである。
というわけで、後はもう、この扉の向こうへ行くだけだ。
「ではアーシャさん、障害も無くなった事だし、先に進みましょう」
「その前に……ちょっとよろしいかしら?」
アーシャさんはそう言うと腕を組み、ジトーとした流し目を俺に送ってきたのである。
「コータローさん……貴方、先程、デインを使ってましたわよね。しかも両手で。一体、どういう事ですの?」
「あ、いや……そのまぁ……俺も何といってよいやら、ははは……色々と事情がありまして」
俺はアーシャさんの雰囲気に気圧されてシドロモドロになってしまった。
アーシャさんは更に凄んでくる。
「へぇ……じゃあ、その事情とやらを【是非ッ】聞かせてもらえませんかね?」
「は、はは……実はですね――」
俺はとりあえず、簡単に説明する事にした。
ヴァロムさんの立会いの元、イシ
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