Lv10 ラーの鏡
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かないだろう。
それに考えてみれば、こいつ等が俺達の影のような存在という時点で、アーシャさんがそれに気付くのも時間の問題なのである。
もうどの道、この事については諦めるしかないのだ。
俺は両手を奴等に向かって真っ直ぐ伸ばすと、魔力の流れを両手に作り始めた。
そして、流れが完全にできたところで、俺はあの呪文を唱えたのである。
【デイン!】
その直後、俺の両手から稲妻が迸る。
稲妻は瞬きするまもなく、奴等へと一直線に命中した。
するとまるで痙攣でも起こしたかのように、奴等は全身を震わせながら動きを停止したのである。
そこから俺はひたすら魔力を制御し続ける。
だが予想以上に、俺がやっている事は厳しい事であった。
なぜなら、魔力の消費スピードが半端じゃないからである。
(く、苦しい……この感じだと、精々、あと数十秒程度しか行使し続けられない……早く扉を見つけないと、アウトだ……)
俺は背後にいるアーシャさんをチラ見した。
「アーシャさん……と、扉はまだですか?」
「もう少し待ってください……壁に触れてみましたら凸凹していましたので、何かあるのは分かるのですが、扉自体が見えないので、取っ手がどれか分からないのです」
「なるべく早めにお願いします。俺もそろそろ限界に近くなってきましたから」
俺は柔らかめに言ったが、実際は『早くしてくれぇェェェ!』と言いたい気分であった。
それほどに今の状態は厳しいのである。
「わ、分かっています。もう少し待って下さ……ン? これかしら?」
アーシャさんはそう言って、何かを掴み、引っ張るような仕草をする。
それと共に、ガチャリという音が聞こえてきた。
と、次の瞬間、なんと、後ろの壁が眩く光り輝いたのであった。
「キャッ」
そこで、アーシャさんの小さな悲鳴が聞こえてきた。
「大丈夫ですか、アーシャさんッ。何があったんです!?」
「だ、大丈夫です。いきなりで眩しかったものですから」
「よかった。……また何か出てきたのかと思いましたよ」
今の状況で魔物に出てこられたら、もはや打つ手なしだ。
なので、俺はそれを聞いて心の底からホッとしたのであった。
後の壁から発せられる光は、次第に収束してゆく。
それから程なくして、先程と変わらない元の光景へと戻っていった。
俺はそこで、目を大きく見開いた。
なぜなら、漆黒のローブ姿の化け物達が、跡形もなく消えていたからだ。
周囲のどこを見回してもいないので、俺はそこで魔力供給と止め、デインを終わらせる事にした。
「あいつ等がいない。今の光で消えたのか……」
「本当ですわね……。どこにもいませんわ。それにあの黄金の扉も、消えてしまっていますわよ」
それを聞き、俺は奥の壁へと視線を向け
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