Lv10 ラーの鏡
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こられた部屋の事を言ってるんだろう。
一旦そこまで戻らないといけないようだ。
と、そこで、アーシャさんがオッサンに訊ねた。
「1つお聞きしたいのですが、ラー様は太陽神なのでありますか?」
「太陽神? ああ、あの石版に書いてあったのを見たから、そう言っておるのだな。実を言うとな、あれはただの演出だ。ああやった方が、盛り上がるからな」
俺は思わず言った。
「盛り上がるって……お前なぁ。その演出とやらの所為で、俺達がどれだけ苦労したと思ってんだよ」
「試練だから仕方ないだろう。お主達がやった試練は、我が考えた事ではないわ。あれは、精霊王が考えた試練なのだ。我はそれに従っただけにすぎん」
精霊王……ファンタジーRPGでは、最高峰クラスの肩書である。
これより上と言えば、神様か大魔王くらいしか思い浮かばない。
まぁそれはさておき、アーシャさんは質問を続ける。
「それで話を戻しますが、ラー様は太陽神ではないのですね?」
「太陽神ではないが……まるっきり嘘というわけでもない。なぜなら、今より遥かな昔、我は人々に太陽神と崇められた事もあったのだ。まぁその時代の名残だと思ってくれればよい」
「な、名残なんですの……」
アーシャさんはそう呟くと、ポカンとした表情を浮かべたのだった。
なんとも珍妙な話である。
そして今の話を聞いた俺は、苦労して謎解きをしてきたのが馬鹿らしくなったのであった。
もう、やってらんねぇといった感じだ。撤収したい気分である
というわけで、俺はアーシャさんに言った。
「アーシャさん。そろそろ帰りませんか。ティレス様やヴァロムさんも待ってるだろうし。まぁ戦利品はこのオッサンの鏡だけだけど」
「オッサンの鏡って言うな! ラーの鏡と呼べ!」
そんなやり取りを微妙な表情で眺めながら、アーシャさんは溜め息を吐いた。
「はぁ……これ以上長居しても、しょうがありませんものね」
と、そこで、オッサンは言った。
「お主達、奥にある壁に向かって我を掲げよ」
「壁に何かあるのか?」
「この奥に精霊王からの贈り物がある。一応、試練を乗り越えた者に渡せと云われとるんでな。まぁお主みたいな奴にくれてやるのは、我もシャクだが……。あ、アーシャさんは別だぞ」
「はいはい、壁に鏡を向ければいいのね」
かなり捻くれたオッサンのようだ。
(この野郎……まだ根にもってやがる。どこが心広いんだよ。しかもアーシャさんだけ名前で呼んでるし……むかつくオッサンだが、まぁいい。とりあえずは、その贈り物とやらを拝ませてもらおうじゃないか)
などと考えながら、俺はオッサンを壁に向かって掲げた。
すると次の瞬間、鏡が眩く発光し、壁の真ん中が霧状になったのである。
そして霧が晴れたその先に、白い扉が現れたのであった。
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