Lv9 試練の道
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れでは行きますッ」
心を強く持ち、俺はゆっくりと、マグマの上へ足を乗せる。
そして、一歩、二歩、三歩、四歩、五歩と進んだところで、俺は立ち止まった。
予想通り、マグマが俺の身を焦がす事はなかった。そう……これは幻覚なのである。
俺はアーシャさんに報告した。
「どうですか、アーシャ様。ね? 大丈夫だったでしょう」
アーシャさんは目を大きく見開いた。
「な、なな、なんで大丈夫なんですのッ!?」
「見ての通り、このマグマは幻覚ですよ。ただしこれは、心が弱いと身体に影響が出る、かなり危険な部類の幻覚なのだと思います。ですから、あの声は勇気を示せと言ったんですよ」
俺はそこで、足元にある布きれを手に取り、アーシャさんに見せた。
「ほら、この布きれも燃えてなんかないです。燃えた様に見えたのは、燃えるかもしれないという心の弱さが、俺達にそう見せていたんです。燃えないと強く思えば、この通りそのままなんですよ。それと幻覚ですから、隣の部屋や扉が熱くないのは当然ですしね。というわけで、以上です」
アーシャさんはポカンとしていた。
流石に予想外の答えだったんだろう。
まぁそれはさておき、俺はアーシャさんに手を差し伸べた。
「さぁアーシャ様、向こうへ行きましょう。大丈夫です。心を強く持ちさえすれば、こんな幻覚どうって事ないですから。それに、早くしないと、ティレス様も待ちくたびれてしまいますよ」
「そ、そうですわね。コータローさんの言うとおりですわ」
アーシャさんは俺の手を取ると、そっとマグマの上に足を乗せた。
「本当に大丈夫ですのね……不思議ですわ」
「ええ。しかし、このラーとかいう神様は悪趣味ですね。本人が目の前にいたら、こんな試練作るなよって言いたい気分ですよ」
「ウフフ、本当ですわね。それじゃあ、コータローさん。先に進みましょう」
「あの、その前にちょっとだけいいですか」
アーシャさんは首を傾げる。
「え、何ですの?」
「1つ提案があるんです。この試練の間だけでも構わないんで、アーシャ様の事をアーシャさんと呼んでいいですか?」
アーシャさんはニコリと微笑むと即答した。
「なんだ、そんな事ですか。良いですわよ。試練が終わった後も、そう呼んでいただいて結構です」
言ってみるもんである。
何でこんな事を訊いたのかと言うと、さっきの悔しそうなアーシャさんを見たのが理由であった。
俺に対して意地を張るなんて無駄な事をするよりも、気兼ねなく話せる関係になった方がお互い楽だろうと思ったからだ。
「ありがとうございます。実を言うと、俺はそう言った言葉を使うのが苦手なんですよね。それに、お互い気楽に話し合えるような感じじゃないと、この先に何が待ち受けてるか分かりませんからね」
「コータローさんて、変な方で
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