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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv9  試練の道
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れば死なない……ハッ!? ……もしかすると、あのマグマとさっき燃えた布きれは……いや、しかし……でも説明できる現象は、これしか考えられない。だがそれを確認するには、実際に試す以外ない。でも……もし違っていたら……俺は死んでしまう。どうしよう……だが、いつまでもこうしてはいられない。ここはもう、自分を信じてやるしかないだろう……)
 さんざん悩んだ末、俺は覚悟を決めた。
「アーシャ様……俺、この通路を進んでみようと思います」
「コータローさん、何を突然言い出すのですかッ」
 アーシャさんは青褪めた表情になる。
「俺の考えが正しければ、恐らく……進んで行ける筈です」
「ち、違っていたら?」
「俺は身を焼かれるでしょう。でも、確かめるにはこれしかないんです」
 アーシャさんは俺の手を取ると、懇願するように言った。
「コ、コータローさん。早まった真似はやめてください。私はそういう意味で言ったのではないんです。じっくりと考えて欲しかったから言ったんです」
 ちょっと半泣きに近い表情である。
 一応、心配はしてくれてるようだ。
 こんなアーシャさんを見ると、俺も決心が鈍ってくる。
 だが、確認するには進むしかないのである。
「アーシャ様、心配してくれてありがとうございます。でも俺を信じてくれませんか?」
 俺達の間に沈黙が訪れる。
 暫くすると、アーシャさんは少し俯きながら口を開いた。
「決心は固いのですね……分かりましたわ。ですが、くれぐれも無理はしないでください。思いとどまっても、私は非難しませんから」
「ありがとうございます、アーシャ様。では行ってきます」
 そして、俺は銀色の扉に手を掛けたのである。

 扉を開くと、マグマに埋め尽くされる灼熱の通路が姿を現した。
 それを前にして、俺は大きく深呼吸をしながら、心を強くするんだと自分に言い聞かせた。
 俺の考えが正しければ、心の強さが、このマグマに打ち勝つ為の絶対条件なのである。
 そこで俺は、3つの疑問点を思い返した。
 1つ目は、扉の向こうにあるマグマは、いったい誰が運んだのかという事、2つ目は、マグマが付近にあるのに、なぜ隣の部屋は常温なのかという事、そして3つ目は、布きれはなぜ空中で燃えたのかという事である。
 確証はないが、これら3つを説明できる現象が1つだけあるのだ。俺達は1つの現象に捕らわれていた所為で、それが死角になり、事実が見えなかったに違いないのである。
 俺は深呼吸をしながら、後ろをチラッと見た。
 すると、背後にはアーシャさんがおり、今は胸元で手を組み、祈るような仕草で静かに佇んでいた。こういう風に大人しいと、可愛い子である。が、今はそんな事を考えている場合ではない。
 俺は視線をマグマに戻すと、意を決し、前へ進むことにした。
「そ
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