Lv9 試練の道
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こで、アーシャさんの震える声が聞こえてきた。
「こ、こんな所を進むなんて……で、できるわけありませんわ」
「ですよね……」
俺も同感である。が、しかし……それと同時に少し違和感もあるのだ。
なぜなら、これだけのマグマがあるのなら、俺達がいる部屋自体もかなり熱くないとおかしいのである。
今はマグマを見たので熱く感じるが、扉が閉まっていた時は、そんな事など微塵も感じなかったのだ。
だがとはいうものの、古代の魔法技術で熱を遮断している可能性もあるので、もしかすると、そういう事もあり得るのかもしれないが……。
まぁそれはともかく、問題は、ここをどう突破するかである。
「アーシャ様、どうしましょう?」
「どうって……どうもこうもありませんわ。こんな状態じゃ、進めるわけがないですわよッ」
「でも、この通路の先に次の扉がありますからねぇ……」
アーシャさんはそこで、顎に手を当て、何かを考え始めた。
「もしかすると、アレの可能性がありますわね……」
何か気になる事でもあったのだろうか。
暫くするとアーシャさんは口を開いた。
「コータローさん、なにか燃やしても良いモノはありますか?」
「燃やすモノですか……ちょっと待ってください」
どうやら、幻覚かどうかを確認するという事なのだろう。
俺は腰に装着しているウエストポーチ状の道具入れから、汗拭き用の布きれを取り出した。
ちなみにこれは、ただの布きれというやつである。ゲームだと、うまのふんと共に、イマイチ存在意義が分からないアイテムだったが、実際にその世界で生活するようになると、タオル代わりに使える便利なアイテムなのだ。
まぁそれはさておき、俺はそれをアーシャさんに差し出した。
「じゃあ、コレを」
「お借りしますわ」
アーシャさんは布きれを受け取ると、マグマへと放り投げた。
すると次の瞬間、なんと布きれは、マグマに触れることなく、熱気によって空中で炎に包まれてしまったのだ。
俺達は驚愕した。
「燃えた……と、という事は、これは本物なのか……」
「で、ですわね」
俺達は今になってようやく戦慄を覚えた。
実を言うと、俺も心のどこかで、これは幻覚だと思っていたのである。
だが、それがたった今、目の前で否定されてしまったのだ。
「一旦扉を閉めましょうアーシャ様……」
「ええ……」――
扉の向こうを見て恐れを抱いた俺達は、入口の部屋で、先に進む方法を話し合う事にした。が、方法は見つからない。おまけに、抜け道のようなモノも皆無であった。
そして、さっきまで楽観的だった俺も、この状況を前にして、次第に焦りが生まれてきたのである。
(このまま、ずっと足止めを喰らうのは不味いな……俺達は食料がないから、いずれ体力が消耗してゆく。何かない
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