Lv9 試練の道
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息入れたのである。
[U]
俺が休憩を始めてから、30分が経過した。
その間、何も変化は無かった。旅の扉と思われる青白く輝く煙のようなモノも、あれから一向に現れる気配はない。が、まぁ予想通りではあった。
俺の勘だと、試練を受ける者をこの部屋に運ぶのが、アレの役目な気がしたからだ。
そう考えるならば、もうお役御免なのである。が、しかし……もしそうならば、俺達がここでジッとしていても、事態は一向に好転しないという事である。その為、この事をアーシャさんに話そうかと思うのだが、あの気難しいアーシャさんをどう説得するかが、頭の痛いところであった。
俺はアーシャさんに視線を向ける。
アーシャさんは今、何の変化もないこの状況に落ち着きをなくしており、苛立ったように、部屋の中を行ったり来たりしていた。最初の頃のような余裕は全く感じられない。
幾ら待てども、何の音沙汰もないので、アーシャさんも流石に焦っているのだろう。
と、そこで、アーシャさんと目が合った。
すると目が合うや否や、アーシャさんは怒った口調で、俺に話しかけてきたのである。
「コータローさん! お兄様とオルドラン様は、一向に来る気配が無いじゃないですか! 一体、何をしてるのかしらッ!」
「……多分、俺達を助けに行きたくても、こっちに来れないんじゃないですかね」
俺はそう答えると、壁に寄りかかり、大きく欠伸をした。
「ちょっと、今のどういう意味ですの? それに気が緩んでますわ。こんな時に欠伸なんて……どういう神経してるのかしら」
「どうもこうも、今言った通りの意味ですよ。だって、考えてもみて下さいよ。俺達がこの部屋に来たのは、あの青い煙が原因なんですから、あれが現れないという事は、大広間とは行き来できないという事なんです。それと、これだけ時間が経過しても、何の変化も無いという事は、恐らく、向こうもこちらに来る手立てが、見つからないんだと思いますよ」
とりあえず、俺は思った事を正直に伝えておいた。
「そ、そんな事は分かっています。ですから、私は他に何か……方法を……」
アーシャさんはそこで言葉に詰まった。
そして、ションボリと肩を落とし、顔を俯かせたのである。
俺の言ったストレートな内容に、少し元気をなくしたみたいだ。
というか、アーシャさんも、薄々そう思っていたに違いない。
「あの、アーシャ様、一つ訊いてもいいですか?」
「何ですの?」
「旅の扉って知っていますか?」
アーシャさんは思案顔になり、天井を見上げた。
「旅の扉ですか……そういえば、古代魔法文明の研究者達が記した書物に、確かその名前が出てきましたわね」
「どんな事が書かれていたんですか?」
「本当かどうかはわかりませんが、それによりますと、古代の
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