Lv8 太陽神
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俺が冗談半分で唱えたアバカムに、なぜか石の扉は反応した。
そして、その直後、光と振動と轟音を発しながら、ゆっくりと、巨大な石の扉は横にスライドしていったのである。
どういう構造になっているのか分からないが、非常に不思議な現象であった。
俺はその様子をただ呆然と眺める事しかできなかったが、アバカムを唱えてから10分程経過したところで、この建造物の奥へと進む入り口が姿を現したのである。
俺は生唾を飲み込みながら、その奥を凝視した。が、しかし……その先は深い闇で覆われている為、俺には何も見えなかった。
また、永い間、石の扉に閉ざされていた所為か、扉が開かれると同時に、奥からカビ臭い空気がこちらへと流れ込んできたのである。
少し鼻につく臭いであったが、今はそれどころではない。ある意味、異常事態である。
とはいうものの、どうしたらいいのか分からないので、俺は扉が完全に開いた後も、暫し呆然と立ち尽くしていたのだ。
そんな中、ヴァロムさんが俺に近寄り、小声で話しかけてきたのである。
「コータローよ……いったい、何をしたのだ? もしや、この建物もアレにでてきたのか?」
俺はブンブンと頭を振り、ヴァロムさんに耳打ちをした。
「い、いや、こんな建物の事はアレには出てきてないです。ただ、扉を開ける呪文というのがあったので、やってみたら、こうなったんですよ。正直、わけわかんないッス」
「扉を開ける呪文じゃと……」
ヴァロムさんはそこで、少し離れた所にいるティレスさんとアーシャさんをチラ見した。
2人は今、こちらへと近づいているところであった。
「オホンッ、と、とにかくじゃ、これからは勝手な行動はするでないぞ。何かするときは、儂にまず相談するのじゃ。よいな?」
「は、はい。以後、気を付けます」
まさかアレで扉が開くとは思わなかったので、俺は今の言葉を肝に銘じたのである。
程なくして、アレサンドラ家の2人は俺達の所へとやって来た。
「オルドラン様、一体何があったのですか? まさかとは思いますが、この扉はコータローさんが開けたのでしょうか?」と、アーシャさん。
ヴァロムさんは頭をかきながら、惚けたように答えた。
「いや、儂も今それを訊いたんじゃがな。コータローが言うには、あの青い水晶球を弄ってるうちに、扉が開いてしまったそうなのじゃよ」
「水晶を弄っていたらですって!?」
アーシャさんは俺を睨みつけ、怒った口調で忠告をしてきた。
「コータローさん……貴方、素人なんですから、不用意に何でも触らないでください。今回は結果的に扉が開いたので良かったですが、こういった古代の遺跡には罠が仕掛けられている可能性だってあるんですよ。まったくもう、これだから素人は……。素人なら素人らしく、大人しくし
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