583部分:第四十五話 魏延、一目惚れするのことその十五
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第四十五話 魏延、一目惚れするのことその十五
そのうえでだ。また崇秀に話すのだった。
「崇秀、御主はどうもだ」
「私が何か」
「何かと毒を見せるな」
「悪気はありませんよ」
「いや、あるだろう」
夏侯惇の言う通りだった。
「それもしっかりとな」
「そう思われますか」
「大人しそうな顔をしてな」
こうも言う夏侯惇だった。
「全く。油断も隙もない」
「そうだな。崇秀の悪いところだ」
夏侯淵は彼にこう告げた。
「そこはだ」
「気をつけてはいます」
「そうならいいがな。しかし」
ここでまた言う夏侯淵だった。今度はだ。
「姉者もな」
「私もか」
「少しは料理を身に着けるのもいいかも知れないな」
こう姉に話すのだった。
「そう思うがな」
「料理か」
「それはどうだ?」
あらためて姉に問う。
「料理も少しはだ」
「ううむ、どうもな」
「どうもか」
「私はそういうのは苦手なのだ」
夏侯惇はその顔に珍しく困惑した顔を見せていた。
「女らしいことはな。昔からな」
「いや、料理はあれだぞ」
崇雷の言葉だ。
「経験だ」
「経験だというのか」
「そうだ、経験が大事だぞ」
そうだというのである。
「とにかく何でも何度も作ることだ」
「そうすればいいのか」
「ああ。よかったら何か作ってみるか?」
「ううむ、最初は何から作るか」
「いや、待て」
夏侯淵はすぐに姉を止めてきた。
「考えてみればそれは危険だ」
「危険だというのか?」
「私も一緒にいよう」
そしてこう言うのだった。
「私もだ。一緒に料理をしよう」
「秋蘭もか」
「そうだ、そうする」
切実な言葉であった。
「それでいいか」
「俺はいい」
崇雷に反対する理由はなかった。だからいいとしたのだった。
「それはな」
「そうか。それならな」
「では三人でだな」
「では私はです」
笑いながら話す崇秀だった。
「兄さんと秋蘭さんのお料理を待たせてもらいます」
「おい、私ではないのか」
「それは遠慮します」
今度の顔は笑ってはいなかった。
「絶対にです」
「何故だ」
「食べたら死ぬからです」
だからだというのであった。
「ですからそれは」
「失礼な奴だな、本当に」
「いや、それは当然だろう」
また言う妹だった。
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