Lv7 イデア遺跡群
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打った地形へと変化し始めていた。
そして暫くすると、御者の大きな声が、こちらに聞こえてきたのである。
【ティレス様ッ、前方に、イデア遺跡群が見えてまいりましたッ】
それを聞き、ティレスさんは周囲を並走する守護隊の者達に、大声で指示を出した。
【これより先は、魔物の数が今まで以上に増えてくる。馬車や馬には魔除けが施されているが、魔物の数が増えれば、今までのように魔物も避けてはくれないだろう。各自、すぐに戦闘できるように態勢を整えよ。気を引き締めるのだッ】
【ハッ】
それを皮切りに、緊張感のある雰囲気へと、この馬車の中も変化していった。
(どうやら、イデア遺跡群の近くに来ているようだ。いよいよだな……さて、どんなモノが待ち受けているのやら……)
俺は知らず知らずのうちに、魔導士の杖をギュッと握り絞めていた。
そして、恐る恐る前方に視線を向けると、蜃気楼のように歪んで見える不気味な建造物群が、俺の視界に入ってきたのであった。
[V]
イデア遺跡群……。
それはマルディラントの北西にある、数々の古代建造物群の総称である。
勿論、人などは住んでおらず、今は魔物が闊歩する廃墟だそうだ。
誰が建てたのか。いつからあったのか。何の為に建てたのか。どんな人たちが住んでいたのか。……それは今もって大きな謎に包まれている遺跡のようである。
また、この遺跡群に付けられているイデアという名は、古代の言葉だそうで、意味は【真実】との事である。
ヴァロムさんの話によると、遺跡群の中に一際大きな建造物があり、そこの壁面にイデアという古代文字が大きく刻まれていた事から、後世の者達がここをイデア遺跡群という呼び名にしたそうである。
だが、このイデアという言葉……実を言うと俺は、ここではない別の場所で聞いたことがあるのだ。
それは、大学時代に聞いた哲学の講義の時であった。
確かその講義の内容は『プラトン哲学におけるイデア論について』だっただろうか。
そして、その時、講壇に立った教授が、こんな事を話していたのである。
――人間は洞窟の中にいて、後ろを振り向く事が出来ない。
――入り口からは太陽が差し込んでおり、イデアを照らし、洞窟の壁に影を作り出す。
――後ろに真の実体があることを知らない人間は、その影こそを実体だと思いこむ……。
これは、古代ギリシャの哲学者プラトンが、イデア論の説明をする為に考えたと云われる洞窟の比喩というやつだ。
また、教授は更にこうも言っていた。
イデアとは物の本質、真理、全ての中で真なる実在であり、我々が肉体的に知覚している対象や世界というのは、あくまでイデアの似像にすぎない、と。
俺は適当にとった講義だったのと、あまりに宗教臭い内容なので
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