Lv6 古代の魔法(i)
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しながらヴァロムさんが小声で話しかけてきたのであった。
「コータローよ……朝食の時に言っておった呪文じゃが、あれも御伽噺で出てきたものなのか?」
「へ? ああ、ルーラとドラゴラムの事ですか?」
するとヴァロムさんは、口の前に人差し指を持っていき、シーというジェスチャーをした。
多分、呪文名を口にするなという事なのだろう。
どうやら、色々と都合の悪い事があるのかもしれない。
「ええ、そうですよ……それがどうかしましたか?」
「実はな、儂も古代の魔法については幾つか知っておってな。今言ったモノの内、前者の魔法については、ある文献で見た事があるのじゃ」
「そうなんですか……」
今、ヴァロムさんは、ルーラの事を古代の魔法と言った。
という事は、アーシャさんの言っていた魔法の数を考えると、この世界ではドラクエシリーズに出ていた魔法の多くが、今は失われている状況なのかもしれない。
何より、ルーラとドラゴラムという呪文を言った時のアーシャさんの反応が、それを如実に物語っていた。
恐らく、魔法の名前すら、あまり知られてないのだろう。
それが事実ならば、これからは迂闊に名前を出さない方がよさそうである。
「まぁそれはともかくじゃ。古代の魔法については……いや、御伽噺については、儂とお主だけの秘密じゃ。それ以外の者がおる時は、口を噤んでおいた方が良いの。それが、お主自身の為でもある……」
「俺自身の為?」
「昨日も言うたと思うが、この国は今、魔物の襲来に怯えておる。この国の魔法研究者達は、強力な古代魔法を得る為の方法を、日夜、血眼になって探しておるのじゃ。じゃから、お主がその辺で御伽噺を吹聴すれば、聞きつけた研究者達が、どっとお主の元に押し寄せる可能性があるのじゃよ」
確かに、それは面倒だ。ウザい事この上ない。
「わ、わかりました。以後、気を付けます」
「うむ。その方が良い」――
そんなやり取りをしつつ、俺達は一等区域内を進み続ける。
暫く進むと、高級感のある商店街へと俺達は辿り着いた。
そこはどれもこれも、貴族御用達といった感じの佇まいを見せる店ばかりであり、二等区域にあるような庶民臭い店は一つもなかった。まさに高級ショッピング街といったところである。
現代日本だと、こういう高級な店にも庶民は入る事ができるが、ここは異世界。流石に、ここを利用する人々は、特権階級ぽい人達ばかりであった。
だが、今はまだ朝という事もあってか、それほどの賑わいは無い。チラホラ見える程度の疎らな感じであった。朝という事もあって、まだそれほど利用客もいないのだろう。
俺達は、そんな閑散とした商店街の通りを真っ直ぐに進んでゆく。
商店街を見回すと、通りの両脇には、宝石を売る店や服を売る店、家具や美術品に食品を売る店等
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