Lv5 ミュトラの書
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ムさんはというと、目を閉じて大きく息を吐いていた。
恐らく、どうしようかと真剣に悩んでいるに違いない。
暫しの沈黙の後、ヴァロムさんは口を開いた。
「……分かった。とりあえず、少し方法を考えてみよう。じゃがその前にじゃ……控えてあるというミュトラの書の記述は、本当にあるのじゃろうの? それが確認できねば、この取引は中止じゃ」
「それはご安心を」
アーシャさんはそう言うと、懐から折り畳んである白い紙を取り出した。
そして、紙をテーブルの上に置いて、ゆっくりと広げたのである。
「これが、ミュトラの書・第二編の全記述でございますわ」
「おお、これが……」
ヴァロムさんは目をキラキラさせながら、その紙に手を伸ばした。
だがしかし……。
ヴァロムさんの手が触れる前に、アーシャさんは紙をパッと自分の所に引き戻したのである。
そして、不敵な笑みを浮かべて、こう告げたのであった。
「まだ駄目でございますわ。お渡しするのは、ちゃんと、お父様を説得して頂いてからです。それが取引というものでしょ、オルドラン様」
「ふ、ふんだ。太守の娘の癖に、ケチじゃのぅ」
ヴァロムさんは拗ねた態度を取った。
「それとこれとは別ですわ。さて……では、そういう事ですので、オルドラン様……イデア遺跡の件、よろしくお願い致しますわ。私はこれにて失礼いたしますので、ごゆるりとお身体をお安め下さい、では」
そしてアーシャさんは立ち上がり、颯爽とこの場を後にしたのである。
アーシャさんが去ったところで、俺は思わず言った。
「ヴァロムさん。なんか知りませんけど、えらい展開になってきましたね……」
「まったくじゃわい。これは予想外じゃ」
これからどうなるのかわからないが、とりあえず、はっきりしてる事は、面倒が増えたという事だろう。
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