Lv5 ミュトラの書
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らの」
「お、王様からですか……」
ヴァロムさんは、凄く悲しそうな表情を浮かべ、しんみりと話し始めた。
「ここ数年……見た事もない凶悪な魔物が各地で増えておってな。中には、魔物に襲われて滅んでしまった国もある。故に、国王は、魔物達に対抗しうる方法を探し求めておるのじゃよ。その一つが大いなる力の探索というわけじゃ」
「ほ、滅んだ国……」
俺はゴクリと生唾を飲み込んだ。
ヴァロムさんはゆっくりと頷く。
「うむ。イシュマリアの遥か西……海を隔てた向こうに、ラミナスという国があった。そこはイシュマリアとも海上交易しておった国なのだが……数年前、突如押し寄せてきた魔物の大群によって、滅亡してしまったのじゃよ。しかも、恐ろしく強大な魔物が多数おったらしく、あっという間の出来事だったようじゃ」
「マジすか……」
俺は魔物の大群という言葉を聞いて、今まで出会った恐ろしい魔物の姿を想像した。
その瞬間、ゾゾッと背筋が寒くなってきたのは言うまでもない。
「じゃから、イシュマリア王は何か手立てはないかと焦っておるのじゃ。明日は我が身じゃからの。まぁそういうわけでじゃな、儂はイシュマリア王から直接に、大いなる力の探索を頼まれておるのじゃよ」
「そんな理由があったんですか……」
と、その時である。
――コン、コン――
丁度そこで、扉をノックする音が聞こえてきたのである。
ヴァロムさんは返事をした。
「はい、何であろうか?」
扉の向こうから女性の声が聞こえてきた。
「オルドラン様。アーシャでございます。先程、聞き忘れた事がございますので、少々、お時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
「ああ、構いませぬぞ。どうぞ、入ってくだされ」
「では失礼いたします」
扉が開き、アーシャさんが部屋の中へと入ってきた。
アーシャさんはサラッとした茶色い髪を靡かせて、俺達の向かいにあるソファーに腰かける。
すると、ラベンダーのようなほのかに甘い香りが、アーシャさんから漂ってきたのである。
(はぁ〜良い匂いがする。これが貴族の女性の香りなのだろうか。それに、やっぱ、可愛いなぁ……やや鋭い目つきだけど、すっと通った鼻に、愛らしい柔らかそうな唇、きめ細かいすべすべした肌に、細い顎のライン……ええわぁ。難点を上げるとすれば、少し胸が小ぶりかもしれないけど、それを差し引いても、やっぱ可愛いわ。とはいえ、ちょっと気も強そうだけど……)
などと考えていると、ヴァロムさんは話を切り出した。
「それでアーシャ様、お話というのは何でございますかな? ここまで来たという事は、他の者がいる所では、お話ししにくい内容とお見受けするが」
アーシャさんは頷く。
「さすが、オルドラン様です。もう既に、お見通しというわけですね。我が父もそうです
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