Lv5 ミュトラの書
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なのである。
というわけで話を戻す。
悩むソレス殿下に視線を向けながら、ヴァロムさんは言った。
「殿下のお気持ち、お察しします。ミュトラの書は人々の目に触れさせぬよう、イシュマリアの八支族が厳重に管理しているのは、儂もわかっておりますのでな。ですから、無理にとは申しませぬ」
「オルドラン卿よ。一つ訊きたい。……ミュトラの書は、王家が探し求める大いなる力に、何か関係しているかもしれぬのか?」
ヴァロムさんは頭を振る。
「それは分かりませぬ。しかし、ミュトラの書を見る事によって、何かキッカケが掴める気がしたものですからな」
今の言葉を聞き、ソレス殿下は大きく息を吐いて目を閉じる。
そして「むぅ」という低い唸り声を上げて、無言になったのである。
かなり悩んでいるようだ。まぁこうなるのも仕方ないのかもしれない。早い話、掟を破れと言っているようなもんだし。
まぁそれはさておき、程なくして、ソレス殿下は口を開いた。
「オルドラン卿よ、すまぬ。……幾ら、卿の頼みとはいえ、ミュトラの書だけは見せるわけにはいかぬのだ。我等イシュマリアの八支族は、始祖であるイシュマリアの意思を守り続ける義務がある。だから、許せ」
「いや、こちらこそ無理なお頼みをして申し訳ない。もし見れるのなら、と思っただけですので、お気になさらないで頂きたい」
とはいうものの、ヴァロムさんは少し残念そうであった。
「卿のように、ミュトラの書に刻まれている古代リュビスト文字が解読できたなら、見せるまでもなく中身を伝えられたかもしれぬが、生憎、私は古代文字は読めぬのでな」
「ソレス殿下、本当にお気になさらないで頂きたい。そのお気持ちだけで、結構にございます」
ヴァロムさんは頭を垂れる。
そして、サラッと話題を変えるのであった。
「では、本題に入りますかな」と。
今の言葉を聞いた途端、ソレス殿下とアーシャさんは少しだけ肩がガクッとなった。
この爺さんは、時々、こういう事があるのだ。
調子が狂うジジイである。
「なんだ、今のが本題ではないのか? 卿は相変わらずだな。で、本題というのは何だ?」
「二つお願いがあるのですが、まず一つ目からいきましょう。我々に、この一等区域で売られている武器・魔導器類の購入許可証を発行して頂きたいのですが、よろしいですかな?」
「ふむ。それなら容易い事だ。で、もう一つは何だ?」
「それと二つ目ですが、我々のイデア遺跡群への立ち入りを許可してもらいたいのです」
だがそれを聞いた途端、ソレス殿下は首を傾げたのである。
「イデア遺跡群だと……。あの地は今、魔物が急速に増えておるので、私は人々の出入りを封鎖しておるのだ。そんな所に何しに行くつもりなのだ?」
「……これも大いなる力を探索する一環としか言えませぬ
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