Lv4 商業都市マルディラント
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翌日の早朝。
日が昇り始めた頃に、俺とヴァロムさんは、イシュマリア国南部に位置するマール地方最大の商業都市・マルディラントへと馬車で向かった。
御者は勿論ヴァロムさんが務めており、俺は後ろの荷台に座って後方の監視をする様に言われている。
要するに、魔物が近づいてきたら報告しろという事である。
そして監視をする以上、俺も魔物に襲われる危険があるので、ヴァロムさんから一応武器を用意してもらったのだ。
その名もなんと……ひのきの棒……。
これを渡された時、表情には出さなかったが、正直、絶望的にガッカリしたのは言うまでもない。
せめて「どうのつるぎ」くらいは用意して欲しかった。
しかも、このひのきの棒、実は物干し竿代わりにヴァロムさんが使っていたやつらしいのだ。
これを聞いた時、俺はもう絶句であった。
おまけに「これしかなかったわい」と笑いながら渡してきたのである。もはやワザとやっているとしか思えない所業であった。
話を戻すが、恐らく、リカントクラスの魔物をひのきの棒で攻撃したところで、与えられるダメージは蚊が刺した程度だろう。いやもしかすると、ダメージゼロという超展開も期待できるかもしれない。ハッキリ言って、心許ない武具なのである。
俺もヴァロムさんに他の武器は無いかと、一応、聞いてはみた。が、即答で「無い」という答えが返ってきたのであった。
とまぁそういうわけなのだ。もうなにもいうまい……。
話を変えよう。
次に俺達の乗る馬車だが、モロに荷馬車といった感じの代物で、俺が座るこの荷台も飾りっ気などは全くない。
しかも、糞暑い日差しが直に降り注いでくる、オシャレなオープンカー仕様となっているのだ。
直射日光を受け続けて熱中症にならないか少し不安であったが、今日は風が多少あり、割と涼しい日であった。
なので、熱中症になるほどの暑さではないのが唯一の救いだ。
また、俺の座るこの荷台はほぼ木製で、金属のパーツ類は、繋ぎ目部分や強度が必要なところ以外は使われて無いようである。
その他にも、この荷馬車は長い間使っているのか、所々に色褪せた部分が散見される外見なのであった。
というわけで、見た目を分かりやすく言うと、古びたリヤカーを馬で引いてる感じだろうか。
とにかく、そんな感じの実用重視な荷馬車なのである。
だから、乗り心地はお世辞にも良いとは言えない。
ガタガタという音と共に、縦に揺れる振動が伝わってくるので、俺自身、最初の30分程は乗っていて気分が悪くなったものだ。
しかし、今はこれ以上の移動手段は期待できないので、ここは我慢するしかないのである。
話は変わるが、出発してからかなり時間が経過しているにも拘わらず、俺達は今のところ、魔物
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