Lv4 商業都市マルディラント
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して暫くすると、高貴な佇まいをした白髪の初老の男が、何人かのお供を連れて現れたのである。
俺が見た感じでは、スペインやポルトガルといったラテン系の顔つきをした男であった。
上背はそれほどなく、別段太っているわけでもない。全体的に中肉中背といった感じだ。
男は、金色のサークレットを頭に被り、古代ローマ風の貴族の衣服を着るという出で立ちしていた。衣服の色彩は鮮やかで、赤や白や紺に加えて金色の生地の部分もあり、右手には、青く美しい宝石が嵌め込まれた杖を携えている。とまぁ早い話が、この中では一際目立つ存在であった。
なので、この男がソレスという太守に違いない。
初老の男は俺達に視線を向けると、笑みを浮かべて口を開いた。
「久しぶりだな。オルドラン卿。相も変わらず、元気なようで何よりだ」
「ソレス殿下もお変わりがないようで、何よりにございます」
というとヴァロムさんは頭を垂れた。
俺もそれに習う。
そこでソレス殿下は俺に視線を向けた。
「そちらはアマツの民の方かな?」
(は? アマツの民?)
そういえば以前、ヴァロムさんも同じような事を言っていた。
一体、どういう意味なんだろう?
などと思っていると、ヴァロムさんは言った。
「この若者は、最近、私の弟子になったコータローと申します。まぁこの地の事はまだ何もわからぬ若輩者なので、そこは少し大目に見てやっていただきたい。ではコータローよ、挨拶しなさい」
うわぁ……どうしよう。
作法が分からん。
仕方ない。とりあえず、それっぽくやっとくか。
というわけで、俺は恭しく頭を垂れた。
「お初、お目にかかりますソレス殿下。私の名はコータローと申しまして、ヴァロム様の元で教えを受けている者にございます。なにぶん、この地の事は初めてですので、粗相があるかもしれませぬが、ご容赦のほど、よろしくお願い致します」
まぁこんな感じでいいだろう。
バイトで習った接客言葉だけど。
「ほう……中々に優秀な弟子を持ったようだな」
「いやいや、まだまだ未熟な者ですので、これからどうなるかは分かりませぬ」
「しかし、滅多に弟子などとらぬお主の事だ。相応の素養があるのであろう。さて、では立ち話もあれだ。まずはそこに掛けたまえ。これは公務ではないのでな。お主とは楽に話したい」
「では、お言葉に甘えて」
俺とヴァロムさんはソファーに腰を下ろす。
俺達が座ったところで、相向かいのソファーにソレス殿下も腰を下ろした。
と、そこで、ソレス殿下は、お供の1人を隣に座るように促したのである。
「アーシャよ。そなたもここに座れ。お主もオルドラン卿に聞きたい事があったのであろう?」
俺はアーシャと呼ばれた人物に目を向ける。
するとそこにいたのは、サラッと流れるよ
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