Lv3 修行
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ン文字に似ているが、それ以上は分からない。
恐らくこれは、この地で使われている文字なのだろう。
言葉は通じるが、俺はまだこの世界の文字は分からない。
なので、こういった書物を読めないのが辛いところであった。
「……なんか、えらく古そうな書物を眺めてるんですね」
「ああ、これか。儂は今、ちょっと調べ物をしておるのじゃよ」
「へぇ、調べものですか。ちなみに、これって鏡ですか?」
俺はそう言って、鏡らしき絵を指さした。
「うむ。ここにはラーの鏡と記述されておるな」
ラーの鏡……。
俺がプレイしたドラクエでは、T以外の全てに登場した定番アイテムである。
とはいうものの、キーアイテムであったり、ただのアイテムであったりと、作品ごとに扱いの違うアイテムだった。
だが、このアイテムの効果は、確かどのドラクエでも同じだった気がするので、ここでも同じ扱いなのかもしれない。
とりあえず、確認してみよう。
「これはラーの鏡なんですか……それって確か、真実を映し出すとかいう鏡のことですよね?」
だがヴァロムさんは、今の俺の言葉を聞き、怪訝な表情を浮かべたのであった。
「何……お主、この鏡の事を知っておるのか?」
「へ? あ、いや……ただ、昔読んだ御伽噺に、そういうのが出てきた気がしたんですよ」
俺は適当に答えておいた。
ゲームではそういう設定でした……とは流石に言えないから仕方ない。
「ふむ、御伽噺か。どんな話か、少し聞かせてくれぬか?」
「え、話を……ですか?」
「うむ」
軽率な事を言ってしまったようだ。
(うわぁ、どうしよう……俺、もしかして余計なこと言ったのか。でもまぁ、それほど誤魔化す必要がある話でもないし、別にいいか。でも用心はしておこう……)
というわけで、ツッコまれても逃げられるよう、それとなく、昔話風に話すことにした。
「そうですね、幾つかあるんですけど――」
俺は魔物によって犬の姿にされたお姫様の話と、ある国の王様の正体が実は魔物であったという話、それから魔王の呪いの所為で、眠りから目覚めない王様と王妃様の話をとりあえずした。
ヴァロムさんは目を閉じて、それらの話を静かに聞いている。
「――俺が覚えているのは、そんなところですかね」
「ふむ。実に興味深い話じゃな」
ヴァロムさんはそう言うと、顎鬚に右手を伸ばして撫で始めた。
最近になって分かったのだが、何かを深く考えるとき、顎鬚を撫でるのがこの人の癖のようだ。
まぁそれはさておき、ドラクエシリーズならば、大体こんな設定だったと思う。
だが、この世界におけるラーの鏡というのが気になったので、それを訊いてみる事にした。
「ところでヴァロムさん。このイシュマリア国には、ラーの鏡の言い伝
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