暁 〜小説投稿サイト〜
Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv3  修行
[5/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ン文字に似ているが、それ以上は分からない。
 恐らくこれは、この地で使われている文字なのだろう。
 言葉は通じるが、俺はまだこの世界の文字は分からない。
 なので、こういった書物を読めないのが辛いところであった。
「……なんか、えらく古そうな書物を眺めてるんですね」
「ああ、これか。儂は今、ちょっと調べ物をしておるのじゃよ」
「へぇ、調べものですか。ちなみに、これって鏡ですか?」
 俺はそう言って、鏡らしき絵を指さした。
「うむ。ここにはラーの鏡と記述されておるな」
 ラーの鏡……。
 俺がプレイしたドラクエでは、T以外の全てに登場した定番アイテムである。
 とはいうものの、キーアイテムであったり、ただのアイテムであったりと、作品ごとに扱いの違うアイテムだった。
 だが、このアイテムの効果は、確かどのドラクエでも同じだった気がするので、ここでも同じ扱いなのかもしれない。
 とりあえず、確認してみよう。
「これはラーの鏡なんですか……それって確か、真実を映し出すとかいう鏡のことですよね?」
 だがヴァロムさんは、今の俺の言葉を聞き、怪訝な表情を浮かべたのであった。
「何……お主、この鏡の事を知っておるのか?」
「へ? あ、いや……ただ、昔読んだ御伽噺(おとぎばなし)に、そういうのが出てきた気がしたんですよ」
 俺は適当に答えておいた。
 ゲームではそういう設定でした……とは流石に言えないから仕方ない。
「ふむ、御伽噺か。どんな話か、少し聞かせてくれぬか?」 
「え、話を……ですか?」
「うむ」
 軽率な事を言ってしまったようだ。
(うわぁ、どうしよう……俺、もしかして余計なこと言ったのか。でもまぁ、それほど誤魔化す必要がある話でもないし、別にいいか。でも用心はしておこう……)
 というわけで、ツッコまれても逃げられるよう、それとなく、昔話風に話すことにした。
「そうですね、幾つかあるんですけど――」

 俺は魔物によって犬の姿にされたお姫様の話と、ある国の王様の正体が実は魔物であったという話、それから魔王の呪いの所為で、眠りから目覚めない王様と王妃様の話をとりあえずした。
 ヴァロムさんは目を閉じて、それらの話を静かに聞いている。

「――俺が覚えているのは、そんなところですかね」 
「ふむ。実に興味深い話じゃな」
 ヴァロムさんはそう言うと、顎鬚に右手を伸ばして撫で始めた。
 最近になって分かったのだが、何かを深く考えるとき、顎鬚を撫でるのがこの人の癖のようだ。
 まぁそれはさておき、ドラクエシリーズならば、大体こんな設定だったと思う。
 だが、この世界におけるラーの鏡というのが気になったので、それを訊いてみる事にした。
「ところでヴァロムさん。このイシュマリア国には、ラーの鏡の言い伝
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ