Lv2 イシュラナの洗礼
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「ですよね」
まぁそうだろうとは思う。
今の俺は、ドラクエで言うならレベル1なのは間違いない。戦闘なんか一回もしてないし。
もしこれがゲームなら「つよさ」で見れるステータスも底辺の筈だ。
因みに俺の予想では、HP・MP共に一桁じゃないだろうかと思っている。
初歩の魔法を3回使っただけで眩暈がきたのだ。大体こんなもんだろう。
だがそれよりも俺は、今の【修練】という言葉を聞いて、非常に嫌な予感がしていたのである。
なぜなら、そこから連想するモノは、ドラクエを始めたら誰もがやるあの作業だからだ。
そう……レベルを上げる為の戦闘である。
ゲームをしていた時は、遠慮なく戦闘してレベル上げをしていたが、実際にそれをするとなると流石に抵抗がある。
しかもこのベルナ峡谷には、リカントという、ドラクエシリーズでは中盤に出てきそうな魔物までいるのである。溜息しか出てこない。
(はぁ……異世界に迷い込ませるなら、せめてスライムとかみたいな序盤の敵がいる場所にしてくれよ……こんな場所でレベル1からは無理ゲーだろ……)
俺は自分をこんな目に遭わせた何かに、そう言いたい気分であった。
考えれば考えるほど、ナーバスになってゆく。
(それはともかく……やっぱり、レベル上げの戦闘をしなきゃいけないのだろうか……そうなると当然、命のやり取りをしなきゃいけないという事だよな……やだなぁ……ゲームのように死んだら生き返れるなんて保証は、どこにもないし……)
俺は恐る恐る訊いてみた。
「あ、あのぉ……ヴァロムさん。と、ということはですよ……ま、魔物と戦って経験を積まないといけないんですかね?」
するとヴァロムさんは、眉根を寄せ、怪訝な表情になった。
「は? いきなりそんな無謀な事をしてどうするのじゃ。それに昨晩の話を聞いた感じじゃと、お主は、戦いと無縁の生活を送っていたようじゃしな。さすがの儂も、いきなりそんな事はさせられんわい」
(よかった……)
俺はとりあえずホッと胸を撫でおろした。
ヴァロムさんは続ける。
「その前に、お主には基本的な事から叩き込まんといかん。そこでお主の心身を鍛える為の修行を、明日までに儂が考えておいてやろう」
「すいません、ヴァロムさん。よろしくお願いします」
俺は深く頭を下げた。
「ああ、気にするな。どうせ儂も、それほど忙しいわけじゃないからの」
とりあえず、戦闘をしなくてもいいというのが分かっただけでも一安心だ。
と、そこで、さっきのデインという魔法の事が脳裏に過ぎったのである。
事のついでなので、それも訊いてみる事にした。
「あの、ヴァロムさん。さっきのデインという呪文なんですけど、あの呪文は何かあるのですか? ヴァロムさんの様子が変だったので、ずっと気になってたんです」
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